今月の言葉

2024年11月:共に願い 共に生きる

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共に願い 共に生きる

Let us support each other for a better and happier life.

近年、国内では毎年のようにどこかで大きな災害が発生しています。私の住んでいる福島県いわき市でも東日本大震災、令和元年東日本台風、そして昨年の台風13号による線状降水帯による豪雨災害と、この13年の間に三度の大規模な災害に見舞われました。そういったことから法務の傍かたわら災害支援に携わるようになり、近年の災害の頻発も相まって、被災地に赴くことが増え、災害の度に苦しむ人々の姿や言葉に接する機会が増えました。災害は当たり前の日常を一変させ、それまで積み重ねてきた全てをいとも簡単に根こそぎ奪っていきます。自然の猛威の前に成す術すべなく変わり果てた被災地の惨状や悲嘆にくれる人々の姿は正に一切皆苦の現前です。しかしそれを前に一人の僧侶としてできることなど災害では何の役にも立たない現実をこれまで何度となく突き付けられてきました。

しかし、被災地にはさまざまな人や物が集まってきます。重機の運転に長けた人、炊出しを得意とした人、住宅の補修を得意とする人、人の話を聴くのが得意な人、看護や医療に精通した人、被災地から離れた所から応援ができる人、またそういった人と物を繋げることを得意とした人… …。様々な人たちが、「被災地・被災者のため」という同じ目標を持ち、互いの弱みを補いながら連携し協力することで、復旧・復興が一歩一歩前に進んでいく、そこには被災者とか支援者とか分け隔ては無く、今必要なことを共に考え、共にできることを全力で行っています。その無私の活動(ボランティア)の姿は正に菩薩そのものであり、遠い昔、恐らく阿弥陀さまも法蔵菩薩の時に同じような経験をされ、全ての者が救われる万民救済の道を求め仏となることを目指されたのでしょう。

それを教えてくれたのはこれまで足を運んできた被災地であり、そこでご縁をいただいた多くの人たち、そしてそういった中で私だからできる支援があることも教えてくれました。

私は被災地での活動の最後の挨拶に「また来ますね」と言うことを信条としています。それは災害という最悪のご縁ではあるけれども、「これからも共に力を合わせ、歩いていきましょうね」というメッセージでもあり、「共に願い、共に生きる」お念仏の教えを信じる者としての大切な約束なのです。

(福島県いわき市 阿弥陀寺 馬目一浩)