今月の言葉

2025年10月:右は仏 左は私 合わす掌

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右は仏 左は私 合わす掌

When you bring your hands together in prayer, you bring the Buddha and yourself together.

今年のゴールデンウイークに小学校の同級生から連絡が入りました。コロナが落ち着いたので、6年生の時に埋めたタイムカプセルを掘り起こすという内容でした。
 有志で掘り起こし、そこから同級生のもとへ届けるということで、私のところに届いたのは6月の終わり。入っていた当時の手紙を見ると、乱筆でしたが、内容は素直にその時の想いを書き残していました。
 今はこの素直な気持ちを忘れ、年を重ねるなかで、色々なことを疑いの目で見たり、人の揚げ足を取ったり、さまざまな環境に流されている自分を痛感しました。自分の手紙を見て、物事と真っすぐ向き合うことの大切さを過去の私に学びました。
 皆さまも幼い時は、言われたことを疑わず真っすぐ信じていたのに、大人になり、どこか疑いの心を持ってしまうことがあるのではないでしょうか。
 物事に真っすぐ向き合うということは、日々皆さまが本堂、お墓、お仏壇でお参りする時にも大切なことです。
 合掌してお参りをする皆さまの西方極楽浄土への往生の願い、亡き大切な方を思い浮かべ、お浄土で再会を果たしたいという気持ち、またご先祖さまへの追善の回向や供養。これは本当にありがたく尊いものです。しかし、合掌をしていても暑いなあ、お腹すいたなあと、余計なことが頭をよぎり、そういった想いと真っすぐ向き合えていないことはありませんか。
 今月の標語は、仏さま、ご先祖さまなどに尊敬・感謝の気持ちを捧げる際に自然と行う「合掌」を表しています。
 合掌は、右手が阿弥陀さま、左手が日々迷いの世界を生きる私たちを指します。この二つの手が合わさることにより、仏さまと私たちが真っすぐと向き合い、阿弥陀さまを信じて疑わないということを意味するとも言われます。
 合掌の意味を意識しながら手を合わせることで、自然と心が阿弥陀さまや大切な方に向き、さらに、お念仏をとなえることで、その方々に想いを伝えることが出来るのではないでしょうか。
 西方極楽浄土にいらっしゃる亡き大切な方は、皆さまのお参りの姿を見守り、お念仏の声をお聞きになってくださいます。そのことに喜びを感じ、手を合わせ、お念仏を一心におとなえいたしましょう。
(神奈川県横浜市 大光院 宮林成彦)