2026年1月:良い目標は この一年を輝かす
「一年の計は元旦にあり」は、年初めによく使われる言葉です。新年を迎えると、多くの人が「今年こそは」と願いを込めて目標を掲げます。しかし、その目標が必ずしも達成されるわけではなく、途中で挫折して苦しみを覚えることも少なくありません。
法然上人は、凡夫の心は移ろいやすく、まるで猿のようにあちこちへ散って落ち着かないと説かれました。せっかく立てた目標も、日常の忙しさや誘惑に押し流され、気づけば忘れてしまう。そんな経験をしてきた方も多いのではないでしょうか。
私は学校に勤務しているのですが、「毎日帰宅後に勉強する」「スマホを部屋に持ち込まない」といった目標を立てながら、思うように続けられず悩む生徒の姿を見かけます。かくいう私自身も、自分の目標が三日坊主に終わる度に、その未熟さを痛感しています。
アジア男子史上最高のプロテニスプレイヤーとして呼び声高い錦織圭選手には、苦手な質問があるそうです。それは、「何年後までに、何を達成したいというような目標設定はありますか?」という、少し先の未来を問うものです。錦織選手は、それに対して、「そんなに遠くのことは見ず、自分のモチベーションになるような少し先の目標を立ててやってきた」と述べています。昨日よりも、今日の自分が少しでも先に進めるような目標を積み上げる。その結果、錦織選手はアジア人男子として初めてテニスの四大大会決勝に進出し、世界ランキング4位という偉業を成し遂げました。
法然上人は『選択集』の中で、念仏を継続するために、1日にとなえる念仏の数を定めることを勧めています。しかし、そこで重要なのは数そのものではなく、日々の目標を掲げて念仏を続けていく姿勢の大切さを説かれている点です。遠すぎる未来を思い描くよりも、今日どう生きるかを意識し、小さな目標を積み重ねる。目標を立てても、思うように続けられないことは誰にでもありますが、志を立て、歩みを続けるその姿勢が重要なのではないでしょうか。新しい年を迎えた今こそ、「昨日より今日を少し良くする」ための小さな目標を掲げてみませんか。小さな目標を積み重ね、2026年を輝かしい良い1年にしてまいりましょう。
(茨城県古河市 本願寺 峯崎就裕)