今月の言葉

2023年10月:的が決まれば あとは射るだけ

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的が決まれば あとは射るだけ

Constantly chant the name of the Amida Buddha to attain birth the Pure Land.

 大谷翔平選手は、私の地元である岩手県奥州市の出身です。私は大谷選手と同じ中学です。実家も近所なので大谷フィーバーの最前線のような場所にお寺があります。侍ジャパンの世界一など、活躍のたびに地元では大変な盛り上がりでした。今では日本だけでなく世界中の人々から応援される選手になったことはとてもうれしく思います。
 大谷選手は、野球を始めた小学3年生の時から「プロ野球選手になる」と目標を決めました。目標達成シート(マンダラチャート)は特に有名です。①体づくり②人間性③メンタル④コントロール⑤キレ⑥スピード160キロ⑦変化球⑧運という八つの項目について詳細に検討しました。目に見える所に張り、時には書いて、常に口にしました。それを確実に、かつ継続的に実行してきた結果、前人未到ともいうべき大リーグでの二刀流の活躍に結実しているのはご存じのとおりです。
 今月の標語は「的が決まればあとは射るだけ」。けれど、私たちの人生を顧みた時、目標となる的を定めているでしょうか。漠然と健康や長生き、美しいものや、おいしい食べ物を手に入れることが目標になっていないでしょうか。
 今こそ大谷選手を見習い、確かな人生の目標を決める時です。浄土宗の目標は極楽往生です。阿弥陀さまは南無阿弥陀仏ととなえたものを、阿弥陀さまの住む世界である極楽浄土に救うと本願に誓われています。極楽往生を目指し、生涯南無阿弥陀仏ととなえ続ければ、臨終の後に阿弥陀さまが迎えに来てくださります。心身ともに安らかにしてもらい極楽に往生します。その後は一切の苦しみなく、成仏させていただけます。
 法然上人は「一枚起請文」の中で「ただ往生極楽のためには、南無阿弥陀仏と申して、うたがいなく往生するぞと思い取りて申す外には別の仔細候わず」とお示しです。極楽往生という目標のためには、必ず往生すると信じて南無阿弥陀仏ととなえることだけが大事だと教えてくれているのです。
 「的が決まればあとは射るだけ」とは、
「極楽に往生するという目標が決まれば、あとは南無阿弥陀仏ととなえるだけ」といえます。共々に念仏精進してまいりましょう。
(岩手県奥州市 真城寺 吉水晃教)