今月の言葉

2026年4月:それでも花は咲く

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2026年4月:それでも花は咲く

If the present seems daunting, press forward.With time, good things will come.

春と申しますと、皆さまはどのような物事を思い浮かべますでしょうか。新たな門出のシーズンらしく、卒業式や入学式でしょうか。鯉のぼりやひな人形などの季節のイベントでしょうか。はたまた花粉症のような苦しいことでしょうか。いろいろなものが考えられますが、桜を思い浮かべる方も多いのではないのでしょうか。仏教において、桜というのはしばしば「諸行無常」の摂理を表すものとされています。春先に美しく咲こうとも、瞬く間にその花弁を散らし、晩春のころには青々とした葉をつけた樹木へと変化していくその様が、すべてのもの・ことは常に移ろいゆき、変わらないものなど決してない、というこの世の真理を象徴しているかのようだからです。
何年か前、お彼岸の時期に早くも桜が満開近くになった年がありました。ああ、今年は暖かいもんな、などと思っていた矢先、台風と見紛うような強い風雨がその桜並木を襲い、咲いた花の8割強を一日のうちに吹き飛ばしていってしまいました。花が散ってしまった桜の木を見て、筆舌に尽くしがたい寂寥感に近い感情が湧き上がったと同時に、ああ、これか、と「諸行無常」の理を実感したことを覚えています。
その年は散ってしまった桜の木々も、春に青葉を茂らせ、灼熱の夏を耐え抜き、実りの秋をこえ、冬の厳しさをもこらえて、翌年の春にはまた綺麗な花々を咲かせます。人の人生も、これと同じではないでしょうか。人生山あり谷ありと申しますように、我々の暮らしの中では大小様々な危機や障害に遭遇してしまいます。その中で堪えがたい苦しみにあい、このまま事態が好転せず、苦しみ続けることになるのではないだろうか、と錯覚してしまうこともあるかもしれません。しかし、蝶の羽ばたきが別の場所で嵐をもたらすように、物事は何がきっかけで転んでいくかは、だれにも知り得ません。もし、そのような事態に陥ってしまっても、そのまま苦しみが続いていくことは決してないのです。悪いこととは連鎖するものだとよく言いますが、散った桜が翌年にまた咲き誇るように、耐え忍び、諦めないことで、また必ず春は訪れ花を咲かせます。同じように私たちも好機にて、これまでの苦しみが糧となり、良い結果に繋がるのではないでしょうか。
(山梨県山梨市 光明寺 岩間永純)

※気象学者エドワード・ローレンツが提供したバタフライ効果の元になった考え方