今月の言葉

2026年5月:それでも花は咲くまずは一呼吸

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まずは一呼吸

Before impatience and irritation carry you away, pause and breathe deeply.

新緑が鮮やかさを増し、太陽の光が心地よい季節を迎えました。その一方で、年度が変わり新たな環境に身を置く方も多いこの季節には、ふと心を落ち着かせることの大切さを考えます。
 私たちはつい、がんばらなければと自分を追い詰めがちです。子育て中の親御さん、介護に追われる方、勉学に励む方、職場でプレッシャーを抱えがちな方。多くの人が、焦りを抱えていることでしょう。
 仏教では、人間には8万4千の煩悩が湧き起こると説かれます。たくさんの思い煩いが、心をざわつかせて、焦りとなります。そんな時こそ、まず一呼吸。それを、息を吸い込むとともに阿弥陀さまの慈しみの光を心に取り入れ、息を吐き出すとともにお念仏をとなえ、煩悩や焦りを外へ放つイメージで行ってみてはいかがでしょう。
 私自身、法事中にトラブルに見舞われ、動揺したことがありました。その際、ご本尊阿弥陀如来さまの前で深く息を吸い、南無阿弥陀仏ととなえました。一呼吸置くことで、冷静になりトラブルも対応することができました。無事に法事を終えることができた時、阿弥陀さまの大きな優しさに包まれていることを思い出し、いつも私たちを見守り、支えてくださっていることに気づきました。
 そしてこのような呼吸をくり返すことで、私たちの考え方も変わって来るのではないでしょうか。定期的にお墓参りにいらっしゃる50代の男性は、毎朝お仏壇の前で手を合わせお念仏をとなえているそうです。「たとえどんなに忙しくても南無阿弥陀仏。そうすることで物事を落ち着いて考えられるようになった」と、お話ししてくださる表情はとても穏やかでした。
 がんばることはもちろん大切ですが、がんばりすぎてはかえって自分を苦しめてしまいます。一呼吸で立ち止まり、お念仏で仏さまの慈悲を感じる。忙しい日々をお過ごしのことと思いますが、ぜひ試してみてください。阿弥陀さまは、私たちのすべてを受け止めてくださいます。がんばりすぎた自分も、焦った自分もそのままに、まず一呼吸、そしてお念仏。5月の新緑のように、きっと今日という日が、少し優しく、穏やかになるはずです。
(千葉県浦安市 大蓮寺 江口直定)