今月の言葉

2022年7月:星空の彼方にあなたを想う

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星空の彼方にあなたを想う

If you think of your loved ones already in the Pure Land as you chant Namu Amida Butsu,they are sure to hear you.

梅雨の時期になり、しばらくすると、近所の子どもたちが保育園や学校で作った短冊付きの笹の葉を持ち帰る姿を見かけるようになります。それを見るともう少しで梅雨が明けるのかなと感じます。
七夕は平安時代ごろに中国から日本に伝わり、当時は芸事の上達を願う宮中行事でしたが、江戸時代になり五節句の一つとして行われることで現在に近い行事となりました。今では短冊に願いごとを書き、笹につける姿をお見掛けします。
先日、近所のお檀家の息子さんが、短冊にたくさんの願い事を書いていた中に「また会おうね」とあったので少し不思議に思い、その子に「誰と会うの?」と尋ねてみました。すると「おじいちゃん」と答えました。
日頃から、職人である祖父の作業場でいつも一緒にいた大好きな祖父でしたが、昨年極楽浄土へ往生されました。葬儀の際には、「おじいちゃんが喜ぶことをして生きていこうね…。一つ、明るく元気に生きよう。二つ、悪いことをしないで善いことをしよう。三つ、みんなと仲良くしようね」とお話をしました。
一周忌の際には、いつもお仏壇の前で手を合わせていた祖父の背中を見ていたお孫さんは、誰に教えられたわけでもなく、自然と手を合わせ南無阿弥陀仏とお念仏をおとなえしていました。声高らかにおとなえをする姿の尊さは、その場にいた私たちを清らかな気持ちにさせてくれ、おじいちゃんにもお念仏の声が届き喜んでいるだろうなと感じました。
信じて仰げるもの、つまり信仰を持って生活をするのと、持たずに生活するのとでは心持ちも変わってくると思います。信仰があるからこそ星空の彼方に人を想うことができますし、気持ちが豊かになるのでしょう。私達も家族や友人に大切に想ってもらえるような生き方をしていきたいものですね。
星空の彼方、はるか西の彼方にあると説かれる極楽浄土。そのお浄土にいる大切な方を想っておとなえするお念仏の声は、距離を超えて届いています。信仰を持って生きること、そしてお念仏の教えに出会えた素晴らしさを多くの方に知っていただき、日々の暮らしが穏やかであるよう、その糧としていただきたいと思うばかりです。
(東京都台東区 念佛院 中野良平)