今月の言葉

2022年12月:自分自身に微笑みを

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自分自身に微笑みを

Congratulate yourself on the efforts you made this year and greet the coming year in a new spirit.

師走となり、1日過ぎるのが早く感じるようになりました。今年は去年に引き続きコロナ災禍で自粛や中止になった行事が多くあったなか、善光寺の御開帳がおこなわれるなど少しではありますが、いい方向へと変化しているのかもしれません。
私はお寺での法務のかたわら住職の父と農業をしています。主に桃を栽培していますが、家庭菜園のような形で多くの野菜も育てています。私一人でいくつかの野菜を育てましたが、納得のいくものではありませんでした。しかし、知り合いや親戚にそれを渡した時に、「大きいね」「美味しかったよ」と感謝の言葉をいただきました。
私自身、どうしても他人と比べて「あれはできない」「これはできない」「何でこんなことで失敗するんだろう」と思ってばかりいます。しかし、私が育てた不格好な野菜を渡して感謝の言葉をもらったことで、こんな小さなことでも誰かから認めてもらえる、少しでも喜んでもらえるんだと思いました。そして、少し照れくささもありましたが、微笑んで「こちらこそありがとうございます」と言いました。この感謝は自分自身にも向けて言ったのだと思います。
誰かに感謝できる人は、自分の心に余裕がある人が多いと思います。もし、心に余裕がなければ、誰かから「ありがとう」と感謝されても、素直に受け取れなかったり、言葉遣いや行動が少し荒っぽくなって、相手を悲しませてしまったりするかもしれません。だからこそ、自分自身を大切にすることは誰かに優しくできることにもつながっていくのではないかと思います。
『無量寿経』というお経には、阿弥陀仏がまだ法蔵菩薩であった昔、仏となるために長い間修行していたときのお話があります。この法蔵菩薩の修行のなかで、自分や他人を傷つけず、優しい言葉遣いをし、自分や他人を大切にすることが説かれています。日常生活において困っている人がいれば、優しく接することはもちろん大切です。しかし、私たちは自分自身をあまり大切にできていないように思います。
自分自身を大切にするために、1年の最後に家族や友人、そして自分自身にも「お疲れさま」とねぎらいの言葉をかけ、新たな気持ちで新年を迎えませんか。
(山梨県山梨市 円福寺 齊藤晃道)