浄土宗新聞

涙をこらえ合掌する参列者 東日本大震災十三回忌法要厳修 宮城・淨念寺

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本堂で十三回忌法要を営む髙橋住職(淨念寺)
本堂で十三回忌法要を営む髙橋住職(淨念寺)

東日本大震災で大きな被害が出た宮城県気仙沼市で、被災者や地域の人々を支えて来た淨念寺の髙橋一世(いっせい)住職(55)は、3月11日の震災発生日に合わせ犠牲者の十三回忌法要を営んだ。
11日当日の物故者追善法要は正午から読経を始め、参列した十数人の檀信徒が焼香した。
午後には町内で、100人近くが参列しての勤行の後、地震発生時刻の午後2時46分に全員で黙祷した。翌12日には髙橋住職が理事を務める気仙沼仏教会による法要も行われ、町全体が追悼の気持ちに包まれた。
同寺ではあの日から避難者300人を長期に受け入れ、住職一家で世話をする一方、数日後から連日何軒もの葬儀を続け、僧侶として遺族や被災者の悲嘆をひたすら受け止めた。宗内の青年僧の応援もあってやや落ち着いた4月、気分転換に境内の桜を皆で囲んで行った花見をきっかけに、翌春より「淨念寺さくら祭」を企画。毎年被災者らが集い、追悼法要後、餅つきや、大分・佐賀教区から寄付されたお米を配り支え続けた。
髙橋住職は「あんな恐ろしいことが起きても、阿弥陀さまに見守られていることが救いでした。寺も何かあった時に助けになる人々の拠りどころでありたい」と決意を話した。
(ジャーナリスト 北村敏泰)