今月の言葉

2024年1月:一人ひとつの積み重ね

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一人ひとつの積み重ね

Do what you can now,and build on that one by one.

 2024年、新たな年を迎えました。みなさまはどのような年を迎えましたでしょうか。家族とともに温かく迎えた新年でしょうか。新たな目標に向かう希望に溢れる新年でしょうか。
 来し方を振り返ると、さまざまなことが思い浮かびます。いまは随分と落ち着きましたが、2019年に発生し世界中で猛威を奮った新型コロナウイルスは、多くの人々の命を奪って、私たちの生活を変えてしまいました。2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は現在でも終わりを見せる気配もなく、悲しみや怒り、恐怖のうちに生活する人々がいます。さらに昨年10月には、イスラエルとハマスの戦闘が起き、やはり多くの人々が命を失いました。この他、世界中ではまだまだ不安の中に生きている人々がいます。
 浄土宗に関係するところでは、昨年8月、ハワイ・マウイ島での山火事があげられます。この火災では、現在97名の死亡が確認されており、31名がいまだ行方不明となっています。そして同島にあるわが宗のラハイナ浄土院は全焼し、この日本から遠く離れた場所で、私たちと同じようにお念仏する人々の心の拠り所が失われました。
 「一人ひとつの積み重ね」
 世界情勢の変化やわが国の経済の衰退により、物価は高騰し収入は減少しています。私たちの生活も楽ではないものに変化していっています。このようなときですので、一人ひとりが大きなことはできません。しかしながら、一人ひとりのほんの少しが積み重なれば、失われた心の拠り所を取り戻すことができます。
 宗祖・法然上人は次のように説いています。
「同じ心で極楽を願い念仏を申す人は、たとえ遥かに遠く離れた国の人であっても、同じ志で仏道を行う仲間であるという思いを懐いて、同じ阿弥陀仏の浄土に生まれようと思うべきである」(津戸三郎入道へ遣わすお返事)
 さて、本年は浄土宗開宗850年の記念の年です。この年に、世界中の多くの問題を解決することはできなくとも、まずは遠い海の向こうの地の、私たちと信仰を同じくする仲間の心の拠り所が復興されることは、宗祖のご恩に報いることになるのではないでしょうか。
(愛知県豊橋市 太蓮寺 市川定敬)

※浄土宗では、ハワイ・ラハイナ浄土院の復興支援のため支援金を勧募しております。問い合わせは浄土宗社会部(TEL:03(3436)3351)または、コチラから