浄土宗新聞

三大蔵ユネスコ「世界の記憶」国際登録を受け増上寺と浄土宗に登録証を授与

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4月にパリで開催されたユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の執行委員会で、「世界の記憶」に「増上寺が所蔵する三種の仏教(せい)(てん)(そう)(しょ)(ぞう)(じょう)(じ)(さん)(たい)(ぞう))」が国際登録されたことを証明する登録証が、申請者である大本山増上寺(東京都港区=小林(しょう)(どう)執事長)と浄土宗(川中(こう)(きょう)宗務総長)に贈られた。
 「世界の記憶」とは、人類にとって特に重要な記録物を国際的に登録するもの。増上寺三大蔵は、中国・宋代(12世紀)、元代(13世紀)および1458年に朝鮮半島で制作され、日本に伝わった3種類の「大蔵経(仏教聖典の総称)」で、徳川家康によって(ぼ)(だい)(じ)の増上寺に寄進された。ほぼ完全な状態で3種類がそろっているものは、公表されている限り同寺が所蔵するもののみ。この三大蔵をもとに現代の仏教書研究の基礎資料『(たい)(しょう)(しん)(しゅう)(だい)(ぞう)(きょう)』が作られたほか、令和5年には、そのデジタル画像がインターネットに公開され、仏教研究のみならず東洋哲学研究の原典としての価値が高まっている。
 7月29日、小林執事長(写真左)と川中総長(写真右)が文部科学省を訪れ、北山(こう)(じ)日本ユネスコ国内委員会事務総長(写真中央)から登録証を受け取った。北山事務総長は授与にあたって、「国としても『世界の記憶』に登録された三大蔵への理解を深めてもらえるようにしていきたい」と述べた。小林執事長は、「三大蔵は増上寺が所蔵しているものですが、インドに始まって中東などを経て中国へ伝わった仏教の教えを、それぞれの時代の技術の粋を集めて印刷した、いわば人々の『記憶の結晶』であると同時に、戦乱を免れて今日まで伝わった平和の象徴でもあります。今回の登録が終わりではなく始まりです。登録をきっかけに三大蔵をさらに多くの人に知ってもらえるように努力していきたい」と思いを語ってくれた。

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