浄土宗新聞

第62回播隆祭 槍ヶ岳開山・播隆上人を偲んで

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写真提供=奥飛騨温泉郷観光協会

 5月10日、長野県と岐阜県の県境にある槍ヶ岳(3180メートル)を開山(初登頂)したとされる播隆上人の偉業を讃え、今シーズンの登山の安全を祈願する第62回「播隆祭」(奥飛騨温泉郷観光協会主催)が岐阜県高山市の村上神社で行われた。
 播隆上人は修行の場を山岳に求め、各地の山で念仏修行をした江戸時代の浄土宗僧侶。槍ヶ岳を開山した際、頂上に阿弥陀如来、観世音菩薩、文殊菩薩の三尊像を安置。その後、登山者の安全を図って「善の綱」と呼ばれる縄を山頂付近に取り付けたことで知られる。さらに麓住人に積極的に念仏を広め、念仏講(念仏をとなえることを目的として集まった人々)を槍ヶ岳山頂へ導いたと伝えられる。
 コロナ禍の影響で4年ぶりに通常規模で営まれた本年は約100人が参加。播隆塔前での神事(写真)の後、平家の落人ゆかりの踊り「鶏芸」や獅子が蛇を捕まえる獅子舞「へんべとり」など、地元伝統芸能が奉納された。