浄土宗新聞

浄土宗開宗850年慶讃 お待ち受け法要開筵 総本山知恩院 10月2~9日

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―ただ一心に極楽浄土へ往くことを願い「南無阿弥陀仏」とお念仏をとなえれば、誰もが救われる。
 850年前、法然上人はこの教えに確信を持ち、浄土宗を開かれました。しかし、この「誰もが救われる」教えに至る道は決して平坦ではありませんでした。
 法然上人が生まれた平安時代末期は、戦乱や飢饉が相次ぎました。上人も幼くして父親を夜襲で失い、その父から、僧侶となって苦しみの多い世界から離れる仏教の教えを求めるよう遺言を受け、仏教の中心地であった比叡山延暦寺に入り、仏教を学びはじめます。
 上人は〝智慧第一の法然房〟とその学識の深さをたたえられる程でしたが、苦しみを逃れるための基礎的な修行でさえ、完全に実践することは難しいことを痛感し、誰もが苦しみから離れることのできる教えがないかと、20年以上にわたり探し求められました。
 そして承安5年(1175)、「阿弥陀仏という仏さまの世界である極楽浄土に往くことを願い、ひたすらに南無阿弥陀仏ととなえることで救われる」との教えに出会い、この教えであれば、あらゆる人が苦しみの世界から救われるとの確信を得ます。
 その後、法然上人は、比叡山を下り、吉水の地(現在の京都市東山のあたり)を拠点に人々にその教えを説かれ、最期の時もこの地で迎えられました。教えを受けた人々は上人を偲んで吉水の地に御廟(墓所)を建て、これが後に総本山知恩院(京都市東山区)となりました。
 法然上人の遺された教えは、その後も多くの人々に伝わりながら、850年という時間を経て現代の私たちにも救いの道を示しています。
 浄土宗では令和6年春、法然上人が浄土宗を開かれて850年を迎えるにあたり、僧侶のみならず檀信徒や一般の方々とも開宗をよろこび、上人への報恩の想いを伝えるために慶讃法要を営みます。
 その前年にあたる本年、ご正当への気運を高めるため、10月2日から9日までの8日間、法然上人が布教の拠点とされた知恩院に建つ御影堂の法然上人の御影(お像)の前で、お待ち受け法要を執り行います。この法要では、総本山と7カ寺の大本山が各日、本山の住職であるご門主(ご門跡)やご法主を導師に特色ある法要を勤めます。
 ぜひご参列いただき、850年前から受け継がれ、現代の私たちまで多くの人を救い続けてきた法然上人の教えのありがたさ、歴史を感じ、ともに「南無阿弥陀仏」とおとなえください。

お待ち受け法要奉修日程

場所=総本山知恩院御影堂(京都府京都市東山区林下町400)

お待ち受け法要は、総本山のご門主(ご門跡)、各大本山のご法主を導師に、それを補佐する2名の脇導師とともに勤められます。法然上人やお念仏への想いを各々の形で表した特色豊かな法要に参列いただき、ともにお念仏をおとなえください。お問い合わせは、浄土宗総務部(075-525-0479)まで。

10月2日(月) 10時30分 大本山 善光寺大本願

法然上人が撰述された『選択本願念仏集』に説かれる主要な教えを、左右導師と式衆が交互に語るように訓読で唱え、その教えを讃嘆、奉戴します。

10月3日(火) 10時30分 大本山 光明寺

節まわしを長く引き伸ばす「引声」という声明によって『阿弥陀経』・念仏をとなえ、「香盤行道」という特殊な行法で仏を讃える「引声法要」を勤めます。

10月4日(水) 10時 大本山 百萬遍知恩寺

数珠玉が1080顆、長さ110メートル、重さ350㌕の大念珠を僧俗ともどもに繰りながら、お念仏をおとなえする百萬遍大念珠繰りを行います。

10月5日(木) 10時30分 大本山 増上寺

関東の気風と相まった壮大な雰囲気を持つ曲調と評される、同寺に伝わる縁山流声明を用いた「縁山流声明法要」で、三導師が表白、諷誦、宣疏を読み上げます。

10月6日(金) 10時 大本山 金戒光明寺

『阿弥陀経』の訓読、比叡山横川に伝承される和讃節による礼讃を唱える三途講式を奉修し、京都に最初の念仏道場を開かれた法然上人の祖徳を偲びます。

10月7日(土) 10時30分 大本山 善導寺

開宗850年を慶讃するとともに、福岡・吉祥寺伝承の双盤念仏も含めた浄土宗二祖三代、本願念仏の法灯継承への祈りも込めた華やかで力強い法要を勤めます。

10月8日(日) 12時 大本山 清浄華院

大勢でとなえるお念仏のありがたさを感じていただくため、清浄華院有縁の方々に参集いただき、導師を中心にお念仏をとなえる大法要を勤めます。

10月9日(月・祝) 10時 総本山 知恩院

声明の唄(始段唄)、散華、梵音、錫杖の四つの曲を用いる「四箇法要」を勤めます。最高の儀式法要とされ、知恩院では長く途絶えていたものです。

「源智上人造立阿弥陀如来立像」を御影堂に奉安

 法要期間中、「源智上人造立阿弥陀如来立像」を御影堂に奉安します。
 この像は、法然上人の一周忌に弟子・源智上人がお念仏のご縁を結ぶことこそ真の報恩になるとの想いで、約4万6千人とお念仏の縁を結んで造立したものです。
 法要への参列に併せてご参拝いただき、その想いを感じてください。

事業の詳細は、ホームページから