新法主に日下部匡信師 阿川文正台下 8月末で退任 大本山善導寺
法主に推戴された日下部師
大本山善導寺(福岡県久留米市)第67世法主・阿川文正台下が8月31日付で辞任の意向を示されたことに伴い、7月30日と8月28日の2回にわたり浄土門主・法主推戴委員会(委員長=川中光敎宗務総長)が京都宗務庁で開催された。
同委員会では、後任として長崎県平戸市の長徳寺住職・日下部匡信(くさかべきょうしん)師を推戴候補とすることを全会一致で決定。日下部師の承諾を得、同寺第68世法主として推戴することとなった。任期は令和6年9月1日から、令和10年8月31日までの4年間。
日下部師は昭和34年生まれの64歳。昭和57年佛教大学文学部仏教学科を卒業。同年7月より長徳寺住職。長崎教区平戸組組長や同教区議会議長などの要職を歴任。また、大本山善導寺布教師会会長や布教師養成講座で講師を務めるなど、布教の分野において尽力されている。
阿川台下は、昭和4年生まれの95歳。浄土宗勧学、大正大学名誉教授。大正大学大学院博士課程を満期退学後、浄土宗学を中心に研究を続け、昭和57年に大正大学教授。教学審議会委員長など要職を歴任。昭和48年から淨土寺(東京都港区)住職を務め、平成13年に大本山善導寺法主に就任。22年にもわたって浄土宗、同寺の護持興隆に大きく貢献された。
8月29日には、同寺本堂で同寺役職者や九州各教区の役職者など約80人が参列し、阿川台下の退山式が執り行われた。阿川台下は退任にあたってのご垂示で、「法然上人800年大遠忌法要、浄土宗開宗850年慶讃法要をお勤めさせて戴くことが出来て良かった。第二次平成大修築でも、九州をはじめ、全国のご寺院や檀信徒に多大なご支援いただいたことに感謝をしている」と述べられた。
大本山のご法主
大本山の住職。そもそもは仏の呼称でしたが、現在では宗派の高僧の呼称として使われるようになりました。浄土宗では、「浄土宗宗綱」によって宗門の儀表として、法主は「大本山の法統を伝承する」とされており、各大本山の住職に対する呼称となります。法主の任期は4年。浄土門主・法主推戴委員会の議を経て推戴されます。法主の職務は「浄土門主を輔佐するとともに教化および教学の推進発展に寄与する」こととされています。
大本山善導寺
浄土宗大本山。浄土宗第二祖聖光上人を開山として建立された、九州における一大念仏道場。『鎮西国師絵詞伝』には、1191年に、聖光がこの地を通りかかると、紫の光が差し込み、光の中に大伽藍を現じたことを目の当たりにし、建立することにしたと伝わる。