コロナ禍だからこそつながりを 子ども食堂で交流の場 提供
新型コロナウイルス感染症の影響により活動が制限される厳しい状況の中、今年3月から子ども食堂を始めた寺院がある。2カ寺は「こんなときだからこそ人のつながりを大事にしたい」と奮闘している。
くろ谷 こども食堂 京都・大本山金戒光明寺
京都市左京区にある大本山金戒光明寺(久米慶勝台下)の僧侶有志が、地域に貢献したいと、同寺を会場に月に1回「くろ谷 こども食堂」を始め、学校帰りの子どもや地域住民らでにぎわいを見せている。
食堂の運営にあたっては、同寺職員の伊藤英亮師ら4人が中心となり、「自分ができることを」の意味を込めて命名した「こころばかりの会」を結成。広報活動から提供する食事の調理まで同会が行う。京都市にまん延防止等重点措置が適用された際には、同寺内での飲食を自粛し、炊き込みご飯を持ち帰り用で準備するなど工夫を凝らしている。
また、食事の提供だけでなく、川端警察署の協力で、白バイ乗車体験や防犯教室なども実施。地域の防犯活動にも取り組む。
地域住民からも「自分たちができないことをしていただいてありがたい」と好評で、食料品などの寄付も届けられているという。
伊藤師は「来やすいお寺を目指し、地域の皆さんがともに笑顔になる活動をしていきたい」と語った。
問い合わせや申し込みは「くろ谷こども食堂」公式ラインから。
おてら食堂 埼玉・光明寺
埼玉県加須市にある光明寺(片山秀丈住職)では、月に1回「おてら食堂」と名付けた子ども食堂を開催。当初は客殿での食事を予定していたが、現在は感染症対策のため、持ち帰り用の弁当を配布している。
これは、副住職の片山俊亮師が、コロナ禍による人間関係の希薄化の加速を感じたことから、寺院ができる活動として思案。「物理的ソーシャルディスタンスといわれるなかで、心の距離まで離れてしまわないようにしたい」との思いから対面でできる活動にこだわり、昨年10月から開設準備を進めてきた。
参加者は地域の子どもを想定していたが、来訪者には、一人暮らしの高齢者も多いという。活動は口コミで広がり、回数を重ねるたびに申し込み数は増加。地域住民の心のよりどころとなっている。
片山師は「コロナが終息したら境内や客殿を開放して自由に過ごしてもらい、温かい食事を笑顔で囲みたい。寺院がさまざまな世代の交流の場となれば」と、活動への思いを語った。
問い合わせや申し込みは「光明寺 おてら食堂」フェイスブックから。