浄土宗新聞

増上寺熊野みこし講奉納 江戸神輿渡御 厳修 〝江戸の粋〟を祖山法然上人に奉納

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本年は浄土宗開宗850年の正当と、熊野神社創建400年、みこし講創設50周年にもあたることから、これを勝縁(しょうえん)とし知恩院への奉納が企画された。

男坂を登る神輿と担ぎ手たち。当日は好天に恵まれ、大勢の観光客も足を止め見入るなど大変な盛況となった
男坂を登る神輿と担ぎ手たち。当日は好天に恵まれ、大勢の観光客も足を止め見入るなど大変な盛況となった

当日は、東京や京都などから、担ぎ手約600人が知恩院に集まり、開始直前より出発地点の同院三門前は熱気に包まれた。三門前広場での発進式は増上寺の赤羽海衆(あかばかいしゅう)執事による、神輿の御霊入れのお作法に始まり、担ぎ手たちは祭囃子とともに、威勢の良い掛声で同院御影堂を目指して発進。

三門をくぐり、知恩院の名所で一段24センチにもなる51段の石階段の男坂に差し掛かかると、担ぎ手たちは〝江戸っ子〟の粋を見せつけるように急坂をものともせず、駆け上がった。神輿が頂上まで登ると参列者や観光客からは大きな歓声が上がった。

男坂を登り切った神輿は、法然上人御廟へ続く階段前まで進み、担ぎ手は神輿を高く差し上げて御廟を遥拝。

続いて法然上人御影が祀られる御影堂へ進み神輿を奉納、中村康雅(こうが)知恩院副門跡を導師に法要を営んだ。

御影堂で営まれた法要では、参列者で堂内は満堂となった
御影堂で営まれた法要では、参列者で堂内は満堂となった

中村副門跡は「開宗850年の良き年に江戸神輿が知恩院に奉納されたことを法然上人は大変喜んでいると思う」と挨拶、続いて小林正道(しょうどう)増上寺執事長が「江戸神輿が男坂を登って奉納されたことは誇り」と祝辞を述べた。

法要後、参加者全員でお念仏をとなえ、一本で締めくくるなど、最後まで〝江戸の粋〟を捧げた