浄土宗の未来を担う124名の僧侶 伝宗伝戒道場成満 総本山知恩院 大本山増上寺
浄土宗教師(僧侶)になるための最後の修行である伝宗伝戒道場が、12月5日から25日まで総本山知恩院(京都市東山区= 伊藤唯眞猊下)、12月7日から27日まで大本山増上寺(東京都港区= 小澤憲珠台下)で開筵され、合わせて124名が新たに浄土宗の教師となった。
伝宗伝戒道場は前行と別行に分かれており、前行の最初の1週間は浄土宗の教えを授かるに値する器となるために阿弥陀如来への懺悔・礼拝に専念する。そして、別行(2週目以降)では、浄土宗が伝承する重要な「宗」の系譜と、浄土宗僧侶が守るべき「戒」を授かる儀式を勤める。
両本山の修行僧たちは3週間にわたる道場を終え、各最終日には伊藤猊下、小澤台下から「宗」と「戒」を相伝された証である伝巻を授与された。
そのなか、増上寺大殿で営まれた成満会(全過程を終えた総括の法要) で、伝灯師( 仏法を伝授する教師) を務めた小澤台下は、浄土宗開宗850年の慶讃の年に、新しく僧侶となった修行僧への祝辞を述べ、「僧侶としての一歩を踏み出すうえで、自身の信仰を土台とし、しっかりと足元を固めることが大切」と諭された。
増上寺境内には、道場を終え教師となった晴れ姿を見ようと家族や縁のある人が集まり、修行僧を笑顔で迎えた。修行僧たちは、笑顔を見せる者やこらえきれず涙を流す者などさまざまで、道場をやりきった喜びがにじみ出ていた。(写真上)
増上寺で行頭(修行僧の代表)を務めた國松俊嗣師(常福寺=神奈川県横須賀市)は、「私たちは今日から浄土宗教師としての人生が始まりました。専修念仏の教えを胸に、開宗851年、さらにその先へ向け一歩一歩進んでいきます」と決意を述べた。