４月のうららかな日差しのもと、総本山知恩院、大本山増上寺 ・金戒光明寺 ・百萬遍知恩寺・清浄華院・善光寺大本願では、浄土宗を開いた法然上人を偲のんで勤める法要「御忌」が営まれます。

「お念仏をとなえれば誰でも極楽浄土に往生できる」という、画期的な教えを掲かかげ、浄土宗を開いた法然上人。

そのころ、仏教は貴族や武士など、限られた階層の人々のものでしたが、法然上人は、身分に関わらずすべての人々が救われる道を示し、多くの民衆の心を打ちました。

法然上人は、建暦２年（1212）1月25日、80歳で西方極楽浄土への往生を遂げられました。上人を深く慕う人々や弟子たちは、毎月の命日（忌日）になると、現在の知恩院がある場所にあった御廟所（墓所）に集まり、「知恩講」と呼ばれる法要を営んでいました。これが、今日まで続く御忌の起源とされています。

「御忌」は、もともと天皇や高僧の命日に行われる法要全般を指す言葉でしたが、大永４年（1524）、後柏原天皇が知恩院へ「毎年１月、京都とその周辺の浄土宗僧侶を集め、法然上人御忌として７日間法要を勤めよ」としたためた詔書(しょうしょ)を送ったことにより、現在では法然上人の忌日法要として知られ、俳句の季語にも使われるようになりました。

かつては、法然上人の命日である1月25日前後に営まれていた御忌ですが、明治10年（1877）に知恩院が４月に法要を行うように変更したことから、多くの大本山でもそれに倣い、４月に行われるようになりました。

御忌の期間中は、法然上人の教えを説く法話や参拝者と一緒にお念仏をとなえる行事などが催されるほか、法然上人の遺品や上人に関する貴重な資料が展示されることもあります。

御忌は、法然上人の教えに触れ、その遺徳を偲ぶ良い機会です。ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

※大本山善導寺と大本山光明寺は１月25日に御忌を勤めています