浄土宗新聞

宗教を超えてともに祈る 開基法要で「踏み絵」殉教者を供養

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「お祈り」の中で教会の神父2名によって聖書が読まれた

福岡県香春(か わら)町の光願寺(こう がん じ)(向井雅宣(が せん)住職)が4月13日、開基450年記念法要の中で、「踏み絵」により命を落としたキリスト教徒の慰霊回向を勤めた。

 光願寺は、天正(てん しょう)3年(1575)の開山。江戸幕府のキリスト教弾圧政策の一環として人々にキリストやマリアの像を踏ませる「踏み絵」が同寺で行われていたとされ、そのことを知った向井住職が心をいため、長年にわたって殉教者の供養を続けてきた。

  法要には約60名が参列、殉教者へ念仏をとなえて慰霊の想いを伝えた。法要後、地元教会の神父2名とキリスト教信者らによる30分間の「お祈り」が捧げられ、宗教を超えた祈りの時間となった。

 また当日は、香春町郷土史会の福田隆太郎氏による「香春町における潜伏キリシタンの歴史」をテーマにした講演なども行われた。

 向井住職は「踏み絵に関する資料の多くは失われているが、光願寺で古くから使われている御手洗い鉢などから、隠れてキリスト教を信仰し続けた方々の存在を感じる。今後も、殉教者へのご供養を続けていきたい」と語った。

光願寺境内に残る三角形御手洗い鉢。この三角という形状はキリスト教の教え三位一体を表す