極楽浄土からのお迎えを再現二十五菩薩練供養 各地で厳かに

4月から5月にかけ、浄土宗と高野山真言宗で護持する當麻寺(奈良県葛城市)や、法然上人生誕の地に建つ浄土宗特別寺院・誕生寺(岡山県久米南町)などで、二十五菩薩練供養が修された。
この法会は、阿弥陀仏とその脇侍(仏の左右に侍して人々の救済を手助けするもの)の観音菩薩・勢至菩薩をはじめとする25の菩薩たちが、臨終が近い人を迎えに来る様子「来迎」を表す仏教行事で、それを行列や儀式として表現するもの。「練供養」の「練」とは、行列を組んで練り歩くの意味で、極楽浄土と私たちの生きる世界に見立てた二つのお堂の間を、菩薩の華やかな装束を着た人々が往復する。往路は「来迎」、復路は浄土へと往生する人を連れ帰る「引接」を表している。
このうち、4月14日に行われた當麻寺の練供養は、平安時代から続く伝統行事で、昨年、国の重要無形民俗文化財に指定されている。法会は、同寺の本尊で国宝にも指定され、『観無量寿経』に説かれる阿弥陀仏の極楽浄土の様相を表す「綴織當麻曼陀羅」を一晩で織り上げたとされる中将姫が、菩薩に導かれ極楽浄土へ往生したという言い伝えを再現し、毎年、中将姫の命日に営まれている。
当日は16時から菩薩に扮した人々が、本堂である曼陀羅堂から境内に設けられた長さおよそ110㍍の木造の橋を渡り、現世に見立てた娑婆堂の中に安置される中将姫のお像のもとへ来迎(写真)。その後、蓮台に像を乗せた菩薩を先頭に、再び橋を練り歩き、極楽浄土に見立てた曼陀羅堂へと引接した。境内は、厳かに営まれる練供養の様子を見に多くの参詣者で賑わいを見せていた。
また、誕生寺では4月20日、上人のご両親を偲び「法然上人御両親御追恩二十五菩薩天童迎接練供養会式大法要」を厳修。この法要は、年ごとに、父・時国公、母・秦氏を交互に供養するもので、今年は秦氏の供養をした。
法会の中、執り行われた練供養は、上人のご両親が極楽浄土へと迎えられる様子を表したもので、本堂を極楽浄土、山門から300㍍の場所にある娑婆堂を現世になぞらえ、菩薩衆が参道を練り歩いた。参道では、地元住人だけではなく、県外からの参拝者が立ち並び、手を合わせていた。