浄土宗新聞

悲願の本堂落慶法要 お念仏の〝縁〟 広まる〝場〟に

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法要参列者らによる本堂前での写真。新本堂は、高さ約11.4m、面積約225㎡。

浄土宗(川中光敎宗務総長)の海外での開教(浄土宗の教えを広める)の拠点の一つで、ブラジルで活動する南米開教区(佐々木良法開教総監)が、パラナ州クリチバ市にあるクリチバ日伯寺本堂の落慶を祝う「浄土宗南米開教区クリチバ日伯寺本堂落慶入佛法要」を6月8日に営んだ。
 南米開教区は、昭和29年(1954)、にサンパウロで布教活動を行ったことに始まり、現在、同国内に4カ寺が存在している。
 クリチバ日伯寺はその一つで、平成20年(2008)に民家(借家)を仮本堂として本尊を安置したことに始まった。その当初から携わっていた開教使(開教活動に従事する僧侶)の大江田晃義師は、布教活動だけでなく、書道や精進料理など日本文化を通じた活動を足がかりに地域住民との親交を深めるなどして地道に信徒を増やし、次第に念仏会などの行事にも参加者が集うようになっていった。平成30年にはその努力が実り、五重相伝会(浄土宗の奥義を授かる法会)の開筵にいたり、45名の信徒が参加。その中から浄土宗僧侶を志す人が生まれるなど、新たな信仰の芽も育まれている。
 信徒が100名を超え、正式な本堂建立が望まれていたことから、令和6年に開教区が70周年を迎えるのにあわせ本堂の建立を発願。大江田師らは日本とブラジル各地を回って寄付を募り、日本とブラジル両国から多数の勧募が寄せられ、本堂建立にあたって大きな支えとなった。
 川中総長を導師に、大本山清浄華院法主・飯田実雄台下など要職者が陪席した落慶法要には、同寺信徒、パラナ州やクリチバ市の関係者、日本から訪れた訪伯団員などあわせて約200名が参列。
 

本尊の開眼の様子。仮本堂から移された阿弥陀如来像は、真新しい木目調の須弥壇に祀られた

その中では、本尊阿弥陀如来に新本堂の護念を願うとともに、仮本堂から移された本尊に魂を入れる開眼の作法も行われた。
 法要後に行われた式典のご垂示で飯田台下は、「檀家のみなさまにとって信仰の場であり、憩いの場である本堂が、さらに多くのご縁を結んで、念仏の教えが広まっていくことを祈念します」と述べられた。
 また佐々木総監は謝辞の中で、浄土宗の布教がブラジルに移住した人のためであった歴史に触れつつ、「これからは世界に広くお念仏の教えを伝えることが私たちの役割である」と決意を語った。