浄土宗新聞

戦没者追悼 平和への願い 終戦80年戦没者追悼法要並びに平和誓願法要 厳修

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法要後の挨拶を述べる名越室長。法要の中では、廣瀬理事長や和田氏などが献花を行った

浄土宗平和協会は、令和6年の浄土宗開宗850年にあわせ、世界平和への意識を高めることを目的とした「平和誓願の集い」を令和4年から全8回にわたり全国各地で実施している。
 終戦80年にあたる本年は浄土宗との共催で、第4回目となる九州地区大会を、第二次世界大戦中、日本で唯一大規模な陸上戦が行われた沖縄県で行うこととした。その中では、これまで営んできた平和誓願法要に合わせて戦没者の追悼を行った。
 当日は、名越邦博浄土宗企画調整室長を導師に、多賀学昭三州教区教区長、田村智彰同教区教化団長が脇導師、同教区僧侶が式衆を務め、オンラインの参加者を含めて、子どもから大人まで約130名が参列。平和願望、戦没者追悼の象徴として造立された沖縄平和祈念像の前で読経し、戦没者を追悼した。
 名越室長は法要中の宣疏(法要の意趣を述べる文)で、世界で唯一の被爆国である日本が世界平和の先導者となるべく、経典に説かれる「兵戈無用(「武力を用いない」の意)」の一文を用いて、世界平和を祈念するとともに、第二次世界大戦の戦没者の冥福を祈り、争いのない世界を願った。
 名越室長は、法要後の挨拶で「私たち一人ひとりの力は小さいものだが、その力を合わせることによって大きな力となる。だからこそ、各々が心に二度と争いを起こさないと誓うことが大切である」と語った。
 法要後には、平和協会が、戦時中の浄土宗の歴史検証をするために全国の浄土宗寺院に、当時の生活や軍事に関する資料の提供を呼びかけ収集された戦時資料を廣瀬理事長が解説。
 続いて、核兵器廃絶や被爆者の救済を訴える活動を続け、2024年にノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会の和田征子氏が登壇。母から聞いた長崎原爆の話や、自身の被団協での活動について講演し、参加者は、真剣な眼差しで話を聴いていた

和田氏の講演の様子。性別が分からないほどの火傷を負った人が倒れていたことなどの母から聞いた凄惨な体験談を語った