争いなき平和な世を願い 8月15日 増上寺 平和祈願会

第二次世界大戦終戦から80年となった8月15日、大本山増上寺(東京都港区=小澤憲珠台下)が、「平和祈願会」を大殿本堂で厳修した。
増上寺は毎年8月、原爆が広島と長崎に投下された6日と9日、それぞれの追悼会を営むとともに、「終戦の日」の15日、戦没者を供養し、争いのない平和な世が続くことを願い、この法要を勤めている。
小澤台下を導師に11時45分から始まった法要には、茂木恵順浄土宗宗務役員や、増上寺の小林正道執事長、武智公英執事をはじめ、僧侶や市民ら約100名が参列。大戦によって亡くなったすべての人々の回向をした。
終戦を伝える玉音放送が流れた時刻である正午には、法要が一時中断され、戦没者の冥福を祈り、梵鐘が3度打ち鳴らされた。境内にその重厚な音が響き渡るなか、参列者らは黙とうを捧げた。
法要後の御垂示の中で小澤台下は、第二次世界大戦を教科書などでしか知らない世代が増えている現状に触れ、凄惨な戦争を二度としないという気持ちを後世に伝えていかなければならないとされた。そして、「『無量寿経』には阿弥陀さまの国は、〈天下和順(世の中が穏やかで、争いごとがなく平和であること)〉と説かれている。私たちの世界はそうはならないことが多いが、それが実現できるよう、それぞれが努力をしていかなければならない」と締めくくられた。
