供養の想い引き継いでいく 日航機事故から40年 青年僧ら慰霊法要

日本の航空機史上最多の死者を出した日航機墜落事故から40年となった本年。群馬教区浄土宗青年会(吉水晃信会長)と関東地区浄土宗青年会(安孫子稔章理事長)有志の青年僧らが9月12日、「御巣鷹山慰霊登山」を営んだ。
日航機墜落事故は、昭和60年8月12日に、東京(羽田)発大阪(伊丹)行きの日航機が、群馬県と長野県の県境にある標高1979㍍の高天原山(御巣鷹の尾根)に墜落し、乗客乗員524名のうち520名が亡くなった戦後史に残る事故。
群馬浄青では、その百箇日に行われた墜落現場近辺への慰霊登山に参加して以来、ほぼ毎年この時期、墜落現場に建つ「昇魂之碑」への登山と法要を行っている。
約40名が参加した今年の「慰霊登山」は、前日から断続的に降り続いた雨の影響から急きょ予定を変更、現場から北に約8キロほど離れた群馬県上野村にある追悼施設「慰霊の園」内の日航機事故慰霊塔を訪れ、吉水会長を導師に法要を勤めた。その中、参列者は一人一人塔の前に線香を供え、ともに念仏をとなえて亡くなった人々の菩提を弔った。
法要後、当時群馬浄青の会員として百箇日の際、慰霊登山に参加した茂木恵順浄土宗宗務役員があいさつをし、最初期の未整備道を登ったときの様子や、次第に道や施設が整備され今の状態があることについて話し、「群馬浄青では、犠牲者の慰霊を風化させてはいけないと、この行事を続けてきた。これからも一緒に続けていければと思う」と語った。
その後、会員らは施設内にある展示棟を見学。事故の様子を伝える当時の新聞や捜索中の写真、関係者の言葉、墜落の衝撃で大きくゆがんだ遺品などを見ながら、事故で亡くなった人々に想いを馳せていた。
吉水会長は、約15年前に初めて参加したとき、登山中に遺体が発見された場所に建てられた墓標の数々を見て心が沈み、悲しい気持ちになったとの体験を述べたうえで、「導師として先頭で慰霊塔の前に立った時、さまざまな方の気持ちがそこにあるように感じ、犠牲者の方々の供養になればとお勤めをさせていただきました。私は事故当時はまだ生まれていませんでしたが、多くの先輩方から当時の惨状や供養への想いをよく聞かせていただきました。その想いはなくしてはいけません。若い人たちに伝えていくために、これからも慰霊登山を続けていきたい」と想いを語ってくれた。