浄土宗新聞

万博に1日限りの寺院日本から 世界へ仏教を届ける 大阪・万博で超宗派の僧侶がイベント開催

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ステージ横には、万博公式キャラクター「ミャクミャク」にちなみ、生と死が脈々と繋がり受け継がれていくことを表したキャッチコピー「生死脈々」が掲げられた

 大阪市此花区の夢洲で10月13日まで開催された大阪・関西万博で9月26日、全国から超宗派の僧侶約250名が集い、「万博寺」と称したイベントを開催。浄土宗からは全国浄土宗青年会(全浄青=杉山裕俊理事長)の会員21人が参加した。
 これは万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に共感しつつ、いのち(生きること)と表裏一体となり、仏教が重要視する「死をどう受け止めるか」という問いを置き去りにしてはならないとの思いから計画されたもので、浄土真宗本願寺派の霍野廣由師が発起人となり、宗派を超えた僧侶らが仏教にまつわるさまざまなイベントを企画した。
 当日は大屋根リングの東部にあるステージに仏画が揚げられ、仏教の儀礼や法
話などをアレンジした催しが営まれた。この中、各宗派の儀式儀礼を勤める「命告り」では、全浄青の会員が阿弥陀仏を讃歎(崇め讃える)する作法を勤め、世界の平和と人々の安穏を願う「祝聖文」をとなえた。
 このほか、存命中に自身の葬儀を行う生前葬を勤め、参加者らでその体験を語り合う「生前葬セレモニー」なども行われた。また、ステージ横には、僧侶と一緒に数珠作りをする体験ブースが設けられたほか、万博限定の御朱印約600枚が授与されるなど、一日で約3千人が万博寺を″参拝〟した。
 イベントを終えた杉山理事長は、「万博会場でのお勤めは大変貴重な経験でした。法要では多くの来場者が一緒に手を合わせ、なかには涙を流しながらお念仏をとなえてくださり、誠に有り難い時間となりました」と語ってくれた。
 万博と仏教のつながりは深く、ウィーン万博(1873)では、鎌倉大仏頭部の張子や五重塔の模型が展示されたほか、戦後の大阪万博(1970)では、日本をはじめ、アジア各国のパビリオンで、仏像や寺社建築の模型が展示された。
 次回のサウジアラビア・リヤド万博でもどのような日本仏教の展示がされるか期待が膨らむ。

大屋根リングの上からも多くの人が見守っていた