お寺で防災体験イベント 地域が一体となり防災を学ぶ 大分 浄泉寺

大分県国東市の浄泉寺(中野浄昭住職)が10月19日、「あそび防災プロジェクト in 浄泉寺」を同寺境内および南安岐地区公民館で開催、地域住民や檀信徒ら約300人が参加した。
この企画は、遊びを通して防災を学ぶことを目的に、国東市子ども会育成会連絡協議会と共催で実施した防災イベント。昨年8月の台風10号による甚大な被害を機に企画され、(公財)ともいき財団の助成を受け、初めて実施されたもの。
当日、同寺では「防災ヒーロー入団試験」と題した五つのプログラムを用意。子どもたちは、防災スリッパづくり、防災リュックの間違い探し、防災クイズラリー、ピカチュウお守り作り、ハザードマップチェックに挑戦した。全てのプログラムをクリアした参加者には記念の缶バッジが贈られるなど、災害時に身の回りのものを活用する工夫や日ごろの備えを楽しく体験的に学ぶ内容となった。
境内では、片方の手でスポンジ製の刀を持ち、もう片方の腕についた「命」と呼ばれるボールをチームで落とし合うリアル合戦「防災チャンバラ」が行われ、参加した子どもたちはチームワークの大切さを実感。他にも、ロープの結び方を学ぶロープワーク講習や、災害ボランティアセンターの受付体験などが実施され、参加者は実際に体を動かしながら避難の方法や救助活動の基本を学んだ。会場には笑い声と真剣な表情が入り交じり、親子連れから高齢者まで幅広い世代が交流する賑わいを見せた。
また、大分大学減災復興デザイン教育研究センターによる災害伝承映像の上映、自衛隊車両の展示、アマチュア無線通信のデモンストレーションなども行われ、通信や情報共有の重要性を伝える企画に、参加者は熱心に耳を傾けた。
この他にも、寺子屋や農業体験などの多様な地域貢献活動が評価され、本年の正力松太郎賞奨励賞を受賞した中野住職は、「18の防災関連組織・団体のご協力で多様な体験ブースを展開できました。万一災害が発生し避難所が開設された場合でも、このネットワークを生かせると感じています。今後も地域の実情に応じ、さまざまな取り組みを進めていきたい」と語った。
同寺では、住民同士の絆を深め、いざという時に支え合える地域づくりを目指す姿勢を示している。
