127年ぶりの帰還 元山内の地蔵菩薩像を請来 大本山百萬遍知恩寺

12月1日、大本山百萬遍知恩寺(京都市左京区)が、かつて同寺の塔頭(大寺院の境内にある寺院)だった西光寺(単立・愛知県津島市)所蔵の地蔵菩薩立像(重文)を請来、127年ぶりに知恩寺に安置されることとなった。
この像は、ヒバを用いた寄木造りで高さ159・6㌢。鎌倉時代初期の慶派仏師の作とされ、現在も表面には造立当時の美しい彩色や金細工が残る。平成26年の解体修理の際、像内から造立にあたって結縁した900名近くが、署名とともに一行ずつ写した写経(「一行一筆結縁経」)などが見つかり、その文化的な価値から同30年に重要文化財に指定された。
近年の調査で、「一行一筆結縁経」に、法然上人の僧名である「源空」の署名が確認されたことから、同経が法然上人を取り巻く状況を知る貴重な史料となるのではないかと注目を集めている。
もとは百萬遍知恩寺近隣に所在した水落寺に祀られ、水落地蔵の名で信仰を集めていたが、室町時代中期の応仁の乱で同寺は焼失。同じく焼失した西光寺の再建の際に合併されて所蔵が移り、江戸時代には知恩寺に安置されていた。明治期に西光寺が愛知に移転したのにあわせ、同像も遷座されることになった。
令和5年、後継者不在の西光寺から「縁のある百萬遍知恩寺に地蔵菩薩像を託したい」との申し出があり、協議を重ね10月に脇侍の不動明王像、毘沙門天像とともに百萬遍知恩寺への請来が実現した。
地蔵菩薩立像は、11月30日まで九州国立博物館で開催された特別展「法然と極楽浄土」に出陳されていたため、保存状態の確認をしたうえで、知恩寺に遷座される。
知恩寺の山本正廣執事長は、「さまざまな機縁が重なり今回お迎えすることができました。手を合わせていただける信仰の対象として大切にお祀りしていきたい」と語った。
1月12日には帰還を祝い、「水落地蔵菩薩立像御帰還慶讃法要」が営まれ、同像を歌った江戸期作のご詠歌が新たに曲を付けて奉納される。1月13日から15日まで御影堂で拝観できるほか、15日には講演会も行われる。
その後は、安置場所の整備をした後に同寺内に祀られる予定だという。