読経をお寺の存在意義高めるきっかけに 「読経健康プログラム」注目集める

寺院離れが深刻化するなか、新型コロナウイルス流行を経て葬儀や法要の簡略化に拍車がかかっている。こうした苦境を打破しようと、宗立大学の大正大学では、新たな役割を模索。寺院で日常的に行われる「読経」が持つ心身への効能に着目して考案した「読経で健康! プログラム」が、檀信徒のみならず地域住民の心をつかむ新たな一手として期待されている。
大正大学地域構想研究所(東京都豊島区)と東京都健康長寿医療センター(同板橋区)では、読経が加齢に伴う口腔・咽喉頭・呼吸機能の低下予防に効果があるのではないかと考え、令和4年から調査を開始。読経の習慣が口腔・咽喉頭・呼吸機能維持に影響を与え、高齢者の約7割が経験する飲食物等が誤って気管に入ることで起こる誤嚥性肺炎防止効果への期待が見いだされた。読経に含まれる発声や深い呼吸は、「飲み込む力」を維持する喉のトレーニングとしても理にかなっており、読経を習慣化することは、認知症の予防になる可能性があるという。
この結果をもとに、読経を中心に据えつつ、効果が高まるよう準備運動や法話、参加者同士のグループワークを加えたものが、「読経で健康! プログラム」。複数の寺院等で一般人を対象に、継続してプログラムを実施したところ一定のプラス効果が見られたという。
調査では、プログラムを寺院で行うことで、茶話会なども併催でき、参加者の生きがいや健康づくりにつながるほか、地域の人の交流の場にもなり、お寺が高齢者にとってより意義深い場所となる可能性も示されたことから、両者は寺院へ向けた資料の作成など普及へ向けた活動を行ってきた。
令和7年度の浄土宗総合学術大会の発表で、この取り組みを知り、実際に読経プログラムを開催した京都府亀岡市稱名寺の和田真宜住職は、「高齢者の健康にお寺が貢献できないかと考えているとき、このプログラムを知り、まず1回やってみようと思い実施しました。思ったより簡単にでき、参加した檀信徒からも好評をいただきました。今後も毎月開催していきたい」と語ってくれた。
