浄土宗新聞

東日本大震災の記憶と未来への希望に 仏師・加藤巍山氏 被災地寺院に仏像を寄贈 8/5福島県いわき市・菩提院

霜村真康副住職(写真左)と加藤巍山氏(写真右)、中央右には奉納された阿弥陀如来像が見える

霜村真康副住職(写真左)と加藤巍山氏(写真右)、中央右には奉納された阿弥陀如来像が見える

仏師として創作活動の傍ら、東日本大震災の復興支援を行う加藤巍山氏(52)は、福島県いわき市の菩提院(=桐原芳照住職)廿三夜尊堂に、同震災からの復興を祈念した阿弥陀如来像を奉納し、地域の注目を集めている。
加藤氏は仲間の仏師、三浦耀山氏と共同で被災地に仏像を寄贈する支援活動「〈縁〉仏像奉納プロジェクト」に取り組んでおり、その活動を通じ、同じく同市を中心に復興支援に取り組む「未来会議」に所属する菩提院副住職の霜村真康師(45)との交流をきっかけに、両氏の被災地の復興を願う想いが一致し、同院が管理する廿三夜尊堂に阿弥陀如来像を奉納することを決めた。
奉納された阿弥陀如来像の制作は今年1月より始まり、平安・鎌倉時代の様式に基づいて彫像。同像の胎内には、震災犠牲者の追悼と、福島原発被害の収束を願う御札が納められている。
8月5日には、同像の開眼(=新たに作られた仏像に魂を入れること)法要が、霜村副住職を導師に廿三夜尊堂で営まれた。当日は加藤氏や同院檀家総代ら6名が参列。参加者は福島の復興を願い、祈りをささげた。
法要に参列した加藤氏は、「この像に被災された方が手を合わせたとき、その不安や悲しみに寄り添い、また震災の記憶と未来への希望となるような存在になったら」とその思いを語った。
霜村副住職は、「廿三夜尊堂は、いわき市街の中心にあり、今も地域の方や、復興関連でいわきに訪れる方など、多くの方が参拝されます。復興を願うとともに、この地を守っていただける仏像として未来に受け継いでいきたい」と話す。
阿弥陀如来像は、廿三夜尊堂の縁日、毎月23日にご開帳。問い合わせは菩提院=0246(21)3188まで。

菩提院廿三夜尊堂に奉納された阿弥陀如来像。高さ約75センチ。木材はヒノキを使用している
菩提院廿三夜尊堂に奉納された阿弥陀如来像。高さ約75センチ。木材はヒノキを使用している