おどろきの木製スーパーカー 観光では組子体験でにぎわう唯一無二を追求する木工会社 (株)佐田建美
岡山県真庭市・重願寺檀信徒
日本を代表する名門ホテルの一つ、ホテルオークラ東京(現The Okura TOKYO)が2019年に新装再開した際、プレステージタワー・ロビーの大間障子に設らえれたのが、「組子細工」と呼ばれる伝統的な装飾だ。釘や留め具を使わずに木片を組み立て、精緻で美しい紋様を生み出す細工は、まさに日本が誇る匠の技。この制作を担当したのが、岡山県真庭市の佐田建美である。
佐田建美は、従業員わずか二十余名の木工メーカー。「木で創れないものはない」という信念のもと、唯一無二の製品を生み出すことで世界から注目されている。例えば「木製スーパーカー真庭」は、エンジンやタイヤ、最小限のフレーム部分を除いて車体のほぼすべてが木でできている。ナンバープレートもあり、最高時速は約百キロというから驚きだ。
お櫃型の「おひつの家」は、最近のヒット作の一つ。調湿効果に優れるモミの木を使ったログハウスで、移動が可能なうえに10平方メートルに満たないため、建築確認が不要というメリットがある。お檀家さんの談話室として境内に設置したお寺もあるそうだ。
本社ショールームには、六角形のサウナや、テーブルが収納できるシンク、イスと一体となったテーブルなど、その発想に思わず唸ってしまうような、独創的な製品が並ぶ。
「オークラの組子細工を担当できたのは、同ホテルの顧問であった故・橋本保雄さんとツーリング仲間だったことが契機でしたが、いくら個人的つながりがあり、当社に実績もあるからといって、超一流ホテルから受注できるものでもありません。ある日ふと『橋本さんのお墓参りに行こう』と思い立ち、たまたま人の縁がつながって大きな仕事に結びついた。損得勘定抜きで行動することは大事ですし、故人を偲ぶことも大切にしてほしいですね」と佐田時信社長は振り返る。日本のものづくりは、こうした創造性と信念がある会社が支えていると実感させられる。
(ライター:岡本茉衣)
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