創業200余年の老舗で味わう福井の新旧ご当地グルメ 麺房 いせや
福井県越前市・大寳寺檀信徒

北陸新幹線が延伸し、ますます賑わう福井。今回訪れたのは福井市から電車で約20分、越前市にある「麺房 いせや」。創業200年以上という、〝町のお蕎麦屋さん〟だ。
出迎えてくれたのは女将の原比那子(はらひなこ)さん。厨房から、ガリガリと大根をすりおろす力強い音が聞こえてきたかと思うと、さっそく料理が登場。「どうぞ、武生名物のおろし蕎麦とボルガライスのセットです」
「越前おろし蕎麦」とは、たっぷりの辛味大根おろし、カツオ節、ネギを合わせた冷たい蕎麦。400年以上の歴史がある福井のソウルフードだ。
「蕎麦は蕎麦粉十割、つなぎ一割の外一(そといち)で打っています。大根おろし入りのつゆを蕎麦にかけて食べてください」
ズズッとすするやコシの強さに驚き! かむたびに広がる蕎麦の風味が力強い。喉越しを楽しむより、じっくりかんで味わうのが流儀と心得た。
「辛味大根は丸くて硬いので、すりおろすのが大変。でも、おろしてから時間が経つと辛味が飛ぶので、提供直前に一気にすりおろします」おろしたての大根の辛味と出汁の清々しさが蕎麦の味を引き立てる。
「ボルガライス」は、約40年前に誕生した武生のご当地グルメ。オムライスにトンカツがのってボリューム満点。赤ワイン、デミグラスソース、トマトジュースなどを煮込んだソースが、食欲をビシバシ刺激する。
「おろし蕎麦もボルガライスも、店によって味もスタイルも違うんですよ」と原さん。
特に福井は日本有数の蕎麦の産地であり、在来種の多さは他に類を見ない。先祖伝来の種を守ってきた結果、個性際立つ蕎麦が健在なのだ。
「この近くにも蕎麦畑があり、秋には一面に白い花が咲くんです。春蒔きの夏蕎麦もあるので、夏に新蕎麦も楽しめますよ。そうそう、春はうちの菩提寺の大寳寺(越前市=吉田悦應住職)にある枝垂れ桜を見ていかれるといいですよ」 食後は花見か蕎麦畑を眺めながらの散歩で決まりだ。
(フードライター:藤岡操)
店舗情報

- 〒915-0812 福井県越前市桂町6-22
- TEL:0778-22-1363
- 営業時間=11~14時
- 定休日=木曜日
- ハピラインふくい線「武生駅」より徒歩10分、または福井鉄道福武線「たけふ新駅」より徒歩6分
- 駐車場あり
- ※価格は税込
- ※配達のお弁当は電話にて要予約