浄土宗新聞

職人技と秋田の風土が生み出す地元で愛される上質な和菓子 光栄堂

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秋田県鹿角市・圓徳寺檀信徒

時計回りに、みたらし団子、豆大福、よもぎ大福、きのこ大福、みそまんじゅう、季節の上生菓子(1個90円~)。6、7月に登場するシャインマスカット入りのぶどう大福も大人気

 「地元のお菓子」といえば、舌になじんだあの店のあの味が思い浮かぶ、という人も多いだろう。
 秋田県鹿角市花輪にある「光栄堂」の和菓子も、きっとそんな地元のお菓子だ。
「寺の行事で配るまんじゅうをこちらでつくってもらっています。とてもおいしいと好評なんですよ」
 そう話すのは菩提寺・圓徳寺の齋藤道昭住職。光栄堂店主の山崎泰史さんは、
「実は、そのまんじゅうは、この店で最初につくったお菓子です。東京、京都で8年間修行して、秋田に戻ってすぐのことでしたね」
 店頭には、塩大福やよもぎ大福、みたらし団子といった定番から、彩り鮮やかな上生菓子、季節のフルーツを使った大福が並び、次々と売れていく。
 お客さんに話を聞くと、「いちご大福、ぶどう大福が好き」「みかん大福が衝撃のおいしさ!」と、〝推し菓子〟を紹介してくれる。
 京都での修業時代に一緒に働き、今も毎日ともに作業する妻の貴子さんは、
「みたらし団子を全部買うから、下に落ちたあんも全部ください! と言う人もいたんですよ」と笑顔で話す。
 地元の醤油を使っているみたらし団子をいただくと、優しいけれど醤油の風味がしっかり。「みたらしあんが全部欲しい」と言われるのも納得だ。
 和菓子の味について話が及ぶと、「鹿角の水はとてもおいしい」と、ご主人の声に力がこもる。
 町を少し歩くと、湧水の汲み場を三つ発見した。雪深い山に囲まれるこの土地はおいしい湧水の名所。東北地方は米の名産地でもあるから、和菓子づくりに適した条件が揃っているのだ。
 持ち帰っていただいた大福はどれもあんこが上品でなめらか。お餅はふんわり軽やか。鹿角花輪で愛される地元のお菓子は、この土地の水や空気のように、心地よく澄んだ味がした。

(フードライター:藤岡操)

店主の山崎泰史さん(左)と、圓徳寺の齋藤住職
  • 〒018-5201 秋田県鹿角市花輪字下花輪27
  • TEL:0186-23-2272
  • 営業時間=9時~19時
  • 不定休
  • JR花輪線「鹿角花輪駅」から徒歩8分 八幡平ICから車で6分