銘茶の産地・佐倉で実感!おそるべきお茶パワー 茶の小川園

都心から電車でおよそ一時間、千葉・佐倉の街に降り立った。佐倉は江戸時代に佐倉藩の城下町として栄え、現在も佐倉城址や武家屋敷通りなど、往時の面影を色濃く残す。その旧通りに、佐倉茶の老舗「小川園」が店を構える。
緑茶の産地といえば狭山、掛川、宇治などが有名だろう。だが実は、佐倉も明治期から優れた製茶技術を誇る一大産地だったことをご存知だろうか。
「明治維新で職を失った藩士たちが、地場産業として選んだのが製茶業でした。広大な茶畑を開墾し、新たな生業として根づかせたのです。岩倉使節団に参加した佐藤百太郎は、ニューヨークに佐倉茶を輸出、大きな評判を呼んだと言われています」と語るのは、小川園三代目であり代表取締役の小川勝寛さんだ。
佐倉茶の特徴の一つは、「火入れ」と呼ばれる乾燥技術の高さにあった。茶葉は水分を2〜3㌫ほど残すのが理想とされ、その加減には熟練の技と炭の選定が欠かせない。ところが、かの有名な掛川にはこの技術がなかったため、佐倉から技師が派遣されたと伝えられる。
お茶というのは、産地や品種、蒸し具合によって香りや味わい、水色が決まる。その違いを見極め、最良のバランスを生み出す作業が「合組」だ。小川園では小川社長をはじめ、腕利きの茶匠がその繊細なブレンドに心血を注ぐ。
早速、人気の﹁佐倉﹂(100㌘1188円)をいただいてみた。茶匠のブレンド技術により吟味されたこのお茶は、香りが強く水色も濃いめ。キレと力強さが際立ち、上品だが食後の一杯として飲み応えがある。
「最近では海外の方がまとめ買いすることも多いですよ。コーヒーや紅茶とは違う、グリーンの水色が新鮮に映るようです」と話す小川社長は、御年80歳。今も経営の最前線でバリバリ働き、体も健康そのものだ。毎朝起きてまず一杯の茶を嗜むのが日課だそうで、やはり緑茶にはまだ知られざるパワーが秘められていると実感した。
(ライター:岡本茉衣)

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