猪肉のクリアな旨味が際立つ島根育ちのジビエ料理 一大

ジビエとは野山で暮らす鳥獣の肉のこと。自然の中で自然のものを食べて生きてきた動物の、生命力あふれるおいしさが魅力だ。
「このあたりの山では猪や鹿がよく獲れます。僕が子どものころ、地元の『二条ホタル祭り』で、猪の丸焼きがあったんです。猟師さんが大きなナイフでカットしてくれる猪肉を食べるのが憧れでした」
そう話すのは島根県益田市にあるジビエ料理店「一大」の豊田一大さん。自ら狩猟免許を取り、野山を駆け1人で厨房に立ち、日々奮闘中だ。
「うちは、手の込んだソースでいただくジビエではなく、シンプルに味わう猟師めし。冬は猪肉の白いコラーゲン層が厚くなって、一番おいしい時期だから、定番のぼたん鍋がおすすめです。肉はさっと煮てね」
みそ味のつゆで野菜を煮たら猪肉を加える。色が変わるまでさっと煮ると、臭みもしつこさもない、肉の旨味があふれ出す。 白いコラーゲン層は、お肌のハリを支えていることがわかる、ぶりん、サクッという唯一無二の食感で、感動レベルのおいしさ!
うっかり煮込んでしまった猪肉と比べると、さっと煮るくらいのほうが肉の味がクリアで美味。だから実は、塩でいただく猪しゃぶしゃぶもイチオシなのだという。
ほかにも、猪の骨を煮込んだシンプルなスープが絶品の猪ラーメン、優しい味の猪肉のうどんも大人気。
毎年3月に菩提寺の妙雲寺境内で行われている『妙雲寺フェス』で、猪うどんなどを販売している。
「地元のものを大事にしたい。だから地元の食材をもっと食べてもらいたい」と、一大さん。
今の夢は、二条ホタル祭りで、猪の丸焼きを復活させること。狩猟免許の取得も、ジビエ料理店の営業も、地元の学校で担当している食育の授業も、すべて「地元のために」という思いでつながっている。
(フードライター:藤岡操)

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