熟れたりんごの香りがふわり“オール山形”の吟醸酒 出羽桜酒造

将棋の駒の生産で有名な山形県天童市といえば、実はかつて織田信長の子孫が納める織田藩が置かれ、歴史と伝統が根付く街だ。
「うちの定番酒は吟醸酒です。もともと、吟醸酒は品評会向けにつくられるお酒。酒造りの技術を結集させた酒だったわけです。それを一般向けに手頃な価格で楽しめるように広めたのが、うちの三代目でした」
そう話すのは、山形県天童市にある「出羽桜酒造」四代目の仲野益美社長。
看板商品「桜花吟醸酒」をいただくと、熟れたりんごのような香りがふわり。甘みはほどよく、後味すっきり。食事にも寄り添う自然な味わいが心地よい。いわゆる吟醸香が強すぎず、ちょうどいいのだ。
「うちの酒の多くは、オール山形。米も水も作り手も、全部山形。だから、うちの酒を楽しんでいただくことは、山形を知っていただくことだと思っています」
山形は日本有数の米どころ。良質の酒米が育つことでも知られている。山形県初の大吟醸向けの酒米として開発された「雪女神」、クリアな味の酒になると評判の「出羽の里」、食用米で人気の「つや姫」はうま味と甘みを出せる酒米だ。
「昨年から、酒米として、つや姫の栽培も始めました。土に酒粕を混ぜ込んで肥料にして育てているんです」
酒粕で育った米が酒になり、その酒粕が再び米を育てる。風土に根ざす濃密な循環は、どんなお酒を醸すのだろう。想像しただけでワクワクしてくる。
「毎年秋に開催する『出羽桜感酒祭』も大賑わいですよ」と、仲野社長。感酒祭では、限定酒の販売や有料試飲、キッチンカーの出店もあるという。
「秋まで待てない!」という方は、出羽桜酒造見学ツアーにご参加を。その後は、春に行われる「天童桜祭り」や織田家の菩提寺とされる三寳寺に立ち寄って信長の肖像画を見学、天童温泉に浸かるという、欲張りなスケジュールもおすすめだ。
(フードライター:藤岡操)
