浄土宗新聞

【浄土宗の読む法話】お盆~亡き人との再会~

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「おぼんとは いままで空にいた人が 空からかえってきます その人は ひさしぶりだから げんきにしてるか といいます なむあみだぶつ なむあみだぶつ」勢哲せいてつ(小1)

お盆は、平素ご無沙汰がちの亡き父母やご先祖様を家にお迎えし、お盆の期間中たくさんの食べ物をお供えして親しく語らい、そしてお盆の期間が終わればまたの再会を願い心静かに本国(極楽浄土)へとお送りする古来からのゆかしい「魂まつり」という行事です。
お盆とは正式には「盂蘭盆会」といい『盂蘭盆経』というお経に由来があります。ある時、お釈迦様の十大弟子の一人「目連尊者もくれんそんじゃ」が餓鬼道で苦しんでいる母親を見つけます。何とか救う手立てはないかとお釈迦様に教えを乞うたところ、「夏の修行期間の明ける旧暦7月15日に多くの僧侶たちに沢山のご馳走を振る舞い心から供養するように」と諭さとされます。この教えに従い供養したところ、母親は救われ極楽浄土へ往くことが出来たという話が説かれています。そしてこの話が日本に伝わり、古くからご先祖さまに感謝をささげ供養する重要な行事となったのです。

冒頭の文は、息子が小学校1年生の時(現在中学3年生)に書いたものですが、当時流行していた「千の風」の歌を思い浮かべて、「この世」とははるか離れた高い所「あの世(極楽浄土)」を「空そら」と表現したのでしょう。『千の風に 千の風になって あの大きな空を 吹き渡っています』の如く、いつも極楽から私達を見守ってくださるのがご先祖様です。お盆はそんなご先祖様が一年に一度「空そら」から我が家に帰ってこられ「元気にしていたか?」と私たちに優しく語ってくれるのです。そのように受け取らせて頂くと、自然と精霊棚に手を合わしお念仏を申さずにはいられません。

「今日あるは 先祖のおかげ 魂まつり」

お盆が終わり、ご先祖様を本国(極楽浄土)へとお送りし少し寂しくなりましたが、また一年後の再会を願って毎日欠かさずお念仏をお称えさせて頂きましょう。

合掌 

大阪教区 泉北組 安楽寺 住職 常住哲也