日々のおつとめ―浄土宗日常勤行式 第13回 「総回向偈」
功徳を回らし向ける 「総回向偈」
願以此功徳 (がんにしくどく)
平等施一切 (びょうどうせいっさい)
同発菩提心 (どうほつぼだいしん)
往生安楽国 (おうじょうあんらっこく)
意訳
このお念仏の功徳を、すべての人々と平等に分かちあい、共に仏道を歩む志をおこして西方極楽浄土に生まれたいと願います。
【資料】毎日のおつとめ
前回の「念仏一会」では、〝阿弥陀さまにすべてお任せします〞といった気持ちでお念仏をとなえられたかと思います。続く「総回向偈」では、その功徳を、縁のあるなしにかかわらず、あらゆる人々にも回向し、ともに往生できるように願いながらとなえます。
この偈文のポイントは、すべての人々にその功徳をふり向けるという点です。
ここで説かれる功徳はいうまでもなくお念仏となりますが、その功徳について『無量寿経』では「大利を徳となす。すなわちこれ無上の功徳を具足す」とあり、法然上人も主著『選択集』のなかで、 「無上大利の念仏」とし、その功徳が広大無辺であるとしています。阿弥陀さまからいただいたこのありがたいお慈悲を、一人だけで享受するのではなく、すべての人々にもおすそ分けしよう、という心が大切なのです。
功徳ポイントのおすそ分け
お念仏や善行によって享受した功徳に対し、 「積もる」という表現をすることがあります。功徳の意味を考えるとき、私たちの生活の中で近いニュアンスとしてあげるなら「ポイント」がそれにあたるかもしれません。買い物などの際にポイントカードを提示して貯まるあのポイントです。
ある企業のポイント交換商品の一覧には、 「旅行券」「電化製品」などに加え、「海外の難民支援」 「震災遺児の支援」などがあります。自分のためだけでなく、他者に振り分ける、まさに〝功徳ポイント〞のおすそ分けではないでしょうか。
買い物ポイントは、そのポイント数に応じて交換できるものが違いますが、お念仏はたとえわずか一回でも、往生浄土という功徳がいただけます。だからこそそのお慈悲に感謝し、日々のお念仏に精進することが大切なのです。これが「世俗のポイント」との決定的な違いです。日々のお念仏の中で慈しみの心が培われ、お互いに思いやりの心で接しあう。こんな慈しみの社会も結果として私たちに授けられた功徳でありましょう。
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