今月の言葉

2026年10月:日々の努めは 先の安心

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日々の努めは 先の安心

Invest in the future every day and you will be ready for whatever tomorrow brings.

私のお寺がある福島市では、今年、「大ゴッホ展」が開催され、26万人を超える方々が来館されたそうです。オランダの画家ゴッホは、数々の名画を残しただけでなく、「偉業は一時的な衝動でなされるものではなく、小さなことの積み重ねによって成し遂げられるのだ」という言葉も残しています。
 私たちの毎日も、仕事に励む。勉強を続ける。どれも、一日頑張ったからといって、すぐに大きな結果が出るものではありません。それでも、ある日ふと、それまでの積み重ねが自分の力になっていることに気づくことがあります。しかし、その一方で私たちの人生には、自分の努力だけではどうにもならないこともあります。いつ命が終わるのか、人生の最後を自分の力だけで決めることはできません。
 そのような私たちに、法然上人は、「信をば一念に生まると取り、行をば一形に励むべし」(『禅勝房にしめす御詞』)とお示しになりました。一度のお念仏で極楽浄土へ往生できると信じ、お念仏の行を生涯続けて励みましょうというものです。
 当山のお檀家さんに、暑い日も、雨の日も、毎日のようにお墓参りに来られる方がおられます。初めの頃は、深い悲しみの中でお参りされている姿がありました。故人への想いを語り、共にお念仏をおとなえするうちに、少しずつ、悲しみと共に故人と極楽浄土での再会を目指し、ご自身の往生を願う心が育まれている姿に変わっていかれたように思います。
 私たちの人生には、二つの安心があるのではないでしょうか。一つは、自分にできることを一日一日努め、積み重ねていく中で得られる、日々の安心。そして、もう一つは、自分の命の行く末を、阿弥陀さまの本願を拠りどころとし、極楽往生を願い、お念仏を申すことに心を定める、先の安心です。
 私たちは、明日のことさえ分かりません。だからこそ、今日できることを大切にし、その歩みの中でお念仏を申す。そして命終わるその時には、阿弥陀さまに迎えられ、極楽浄土へ往生させていただく。自分の力でつくる日々の安心と、阿弥陀さまにお任せする先の安心。その二つを大切にしながら、今日という一日を、お念仏とともに歩んでまいりたいものです。
(福島県福島市 到岸寺 石山祥道)