浄土宗新聞

文化財 後世に守り伝える 学生が仏像模刻 奉納 京都・平等院

国宝「雲中供養菩薩像」の模刻。左から神居住職、指導者である東北芸術工科大学教授・柿田喜則氏、門田さん

国宝「雲中供養菩薩像」の模刻。左から神居住職、指導者である東北芸術工科大学教授・柿田喜則氏、門田さん

京都府宇治市の平等院(神居文彰住職)にある国宝「雲中供養菩薩像」のうちの1躰を学生が模刻、同院塔頭・浄土院は3月17日の彼岸法要にあわせて檀信徒約100名と開眼式を営んだ。

雲中供養菩薩像は鳳凰堂内の南、西、北の壁面上部に掲げられている52躰の菩薩像で、天喜元年(1053)に制作されたもの。各像には南、北各1から26の番号がつけられ、阿弥陀如来坐像を囲むように並ぶ。
今回模刻したのは、山形市の東北芸術工科大学大学院生・門田真実さん(23)。立体修復を専攻する門田さんは、同像が本尊を囲んで自由に飛ぶ姿に惹かれ、雲座に左膝を立てて座る「南21号」(高さ61.2㌢、幅約70㌢)の模刻に挑んだ。
岩手県一関市出身の門田さんは中学1年生のときに東日本大震災を経験。災害による文化財への被害を目の当たりにしたことで、その修復に関わりたいという気持ちが強くなったという。今回が初めての仏像制作で、技量が足らず、表現しきれない技術の拙さに歯がゆさを覚えながらも、「当時の制作者がこだわった造形性を実感することができた」と振り返った。
開眼式を執り行った神居住職は、「模刻の申し出があったときから仏としてお迎えすることを決め、完成を心待ちにしていた。文化財を守り伝えることが、災害やコロナウイルスから立ち上がる私たちの希望の光になれば」と願った。
雲中供養菩薩像の多くは頭体を一材で造るか、頭部を別材で造り、体部に挿し込んで造られている。一方、模刻された南21号は、別材で造った頭・体を膠などの接着剤のみで接合する「木口継ぎ」という技法が用いられており、他の技法よりも強度が劣るため、仏像の造立で使用されるのは珍しいという。
今回の模刻にあたっては、木口継ぎが使われた理由を検証するため、門田さんはあえて一材で制作。躍動感のある仏像を造るにあたり、彫りやすさを優先し、完成間際まで面部の方向を微調整するために、この技法が使用されたのではないかと推察している。

開眼式を営む神居住職
開眼式を営む神居住職