お寺を教育の場に 不登校の子どものためのフリースクールを開始 愛知・浄土院
名古屋市守山区の浄土院(児玉尚文住職)では、 同寺副住職・児玉匡信師が園長を務める幼稚園 「守山幼稚園」(同市)に併設する形で、 不登校の小中学生を対象としたフリースクール「てらこやさん」を昨年12月に開設、地域で話題となっている。
フリースクールとは、さまざまな理由から学校にいけない子どもたちを対象に学習や心のケアなどを行う民間の施設。全国で約30万人に及ぶとされる不登校の子どもたちの受け皿として注目を集めている。
児玉師は、不登校の子どもたちが増えている現状を目の当たりにし、多感な学童期を安心して過ごせる場所が必要と感じ、かつて子どもたちに読み書きなどを教える「寺子屋」という取り組みを行っていた寺院がその助けになれるのではないかと考え、「てらこやさん」の立ち上げを決めた。現在、(公財) ともいき財団の助成を受け運営を行っている。
授業などのカリキュラムはなく、すべてが〝自由時間〟。子どもたちは絵を描いたり、体を動かしたりと思い思いに過ごし、昼食も自分たちで食材を選び調理している。これは、子どもたち自身が何をするかを決めることで、自分の存在意義を感じ、自己肯定感を高ることを目的としている。
また守山幼稚園と併設する形で設置しており、これは全国的にも珍しい形態。園児と一緒に遊んだり、幼稚園の野外活動に参加することで、頼り頼られる関係性が生まれ、自分の役割を意識できるようになることを期待してのものだという。
「てらこやさん」は平日の9時から15時に開校しており、毎日約10名ほどの子どもたちが登校している。
児玉師は、保護者から途絶えていた子どもとの会話が増えたという声が寄せられていると述べ、 「ここには痛みや辛さを経験した子どもが集まる。それゆえ互いへの気づかいができ、それが居心地のよさを生む。結果、本来の感情を取り戻すことにつながっていると思う。お寺は本来、地域の中心でさまざまな人と人をつなぐ場所。これからも絆やつながりを作る活動を展開したい」と語った。