浄土宗新聞

生活リズムを整える「子ども寺小屋」 夏休みなどの長期休暇に寺院を開放して子どものために 鳥取・迎接院生活

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鳥取県米子市の迎接院(伊藤信道住職)が、夏休みと春休みの期間中、小学生を中心に同院を学びの場として開放している「子ども寺子屋」。地域でも人気を博しているこの活動が、3月28日、正力松太郎賞奨励賞を受賞した。

参加した子どもたちとの集合写真。写真左が伊藤住職
参加した子どもたちとの集合写真。写真左が伊藤住職

「子ども寺子屋」は、小学生の長期休暇に、学習の場を提供し生活リズムを整えることを目的に行われている活動。勉強のみならず、寺院ならではの過ごし方を体験できることから、子どもだけではなく保護者からも好評を得ている。

同院は戦前から、託児所の開設や子ども会の活動など、寺院を地域住民に開放する取り組みを大切にしてきた。伊藤住職夫妻はかつて教育現場に従事しており、その中で、長期休暇の後に子どもたちの不登校が増加することを経験。その原因が、生活リズムの乱れにあると考え、リズム作りの一助になればと長期休暇中、学校の始業時間に近い時間帯に寺院で宿題などに取り組んでもらうこの活動を始めた。

子どもたちを優しく指導する寺庭夫人の伊藤紀子さん(写真左上)
子どもたちを優しく指導する寺庭夫人の伊藤紀子さん(写真左上)

子ども寺子屋は長期休暇中、お盆など寺院の繁忙期を除く平日朝9時から1時間ほど開催され、子どもたちは宿題などに取り組む。住職夫妻が教員だった経験を活かし、分からないことなどを丁寧に教える。

また、「思い出作りも大切にしてほしい」との伊藤住職の考えから、地域住民との交流会や落語会、料理会、一泊二日のお泊り会等も不定期に行っているほか、「プチ修行」と題し、数珠繰りや礼拝、伊藤住職による地獄や極楽の法話、掃除などを体験する半日修行プログラムなども。

2005年に始まり、今年で20年目を迎え、当初18人の参加から始まったが、100人を超えた年もあり、延べ1700人以上が参加している。

地元でもこの活動が浸透しており、保護者からは「今年もお願いできますか?」と、開催を待ち望む声が多く寄せられるという。
このような長年の活動が評価され、今年、仏教精神に基づいて青少幼年の育成や教化に尽力した団体・個人に贈られる「正力松太郎賞」(全国青少年教化協議会主催)の奨励賞を受賞。

伊藤住職は、「ここで過ごした時間が、子どもたちの温かい思い出として残ってくれたら嬉しい。このような活動を〝当たり前の日常のもの〟として続けていきたい」とその感想と今後の抱負を語った。