日豪を繋ぐお念仏の声 豪州日本人墓地で慰霊法要 浄土宗開教振興協会
2月9日から15日まで、海外の開教活動を支援する浄土宗開教振興協会(杉山俊明理事長)が、浄土宗の海外開教拠点の一つであるオーストラリア開教地を訪問し、現地日本人墓地で法要を勤めた。
これは、本年が戦後80年にあたることから企画されたもの。法要は太平洋戦争で命を落とした日本人が埋葬されたカウラ日本人墓地と、移民として同国で亡くなった日本人が埋葬され、浄土宗が整備に関わった木曜島日本人墓地で営んだ。

浄土宗では平成8年に、当時のオーストラリア大使であった佐藤行雄氏(現浄土宗ともいき財団理事長、浄土宗神奈川教区高徳院出身)から、同国各地の荒廃が進む日本人墓地の供養・慰霊についての相談を受け、同9年に慰霊法要を厳修。法要はその後も複数回営んだほか、日本政府に整備のよびかけを行うなど、同国日本人墓地との関係も深い。
11日に法要を営んだ木曜島は、オーストラリア北東端に位置し、かつて、装飾品に使われた貝の採取地として2千人あまりの日本人が潜水夫として移住した島。潜水病や潜水中の事故、台風等の自然災害などで多くの日本人が命を落とした歴史を持ち、その慰霊のために墓地が建立された。
当時同島に移住した日本人は和歌山県出身者が多く、同県にルーツを持つ現地住民が「和歌山県人会」を組織し、墓地管理にあたっている。杉山理事長は今回の訪豪に先駆け、木曜島があるトレス市と姉妹都市提携を結ぶ同県串本町を昨年12月に訪問。これまでの浄土宗の活動を報告するとともに、今後の協力関係を模索していた。
法要は、杉山理事長を導師に、トレス市のエルシー・シリアト市長や石川勝利(かつとし)在ブリスベン日本国総領事をはじめ、「和歌山県人会」関係者、現地の高校に通う学生など約30名が参列し、共に先人たちを供養した。

14日には、太平洋戦争で捕虜となった旧日本軍関係者約500名が眠るニューサウスウェールズ州カウラの日本人墓地において、慰霊法要を実施。同じく杉山理事長を導師に、佐藤行雄氏はじめカウラ市長ポール・スミス氏、関山雄太在シドニー日本国総領事館領事など約20名が参列し、それぞれ追悼の誠を捧げた。法要後、杉山理事長は挨拶の中で、「終戦80年となる年に、慰霊法要を厳修できたことは大変意義深いことです」と語った。
また13日には、同開教地の開教使として布教活動にあたり、毎年日本人墓地で慰霊法要を勤めるウィルソン哲雄(てつゆう)師の活動を評価し、平成30年から木曜島日本人墓地の整備を進める日本政府関係者に謝意を述べるため在オーストラリア日本国大使館を訪問し、鈴木量博(かずひろ)大使と面会。現在も同国に点在する日本人墓地所在地の把握および共有など、今後も協力関係を継続させていくことを確認した。