浄土宗新聞

東京教区教宣師会・ともいき財団 自死に向き合う僧侶たち 宗内の活動や取り組みをリポート

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厚生労働省と警察庁が令和4年3月に発表した「令和3年中における自殺の状況」によると、自殺者数は約2万1千人で、男性・約1万3千人、女性・約7千人となっており、女性は2年連続の増加傾向となっている。今回は、宗内で自死支援に携わる人びとや団体に、活動や取り組みを伺った。

東京教区教宣師会による自死者追悼法要の様子。会場となった大本山増上寺安国殿の本尊(写真中央)に、亡き方への手紙を供えている
東京教区教宣師会による自死者追悼法要の様子。会場となった大本山増上寺安国殿の本尊(写真中央)に、亡き方への手紙を供えている

自死者追悼法要 東京教区教宣師会

自死により大切な方を亡くした遺族などのために、若手僧侶らで組織する浄土宗東京教区教宣師会(石井綾月(りょうげつ)会長)が6月10日、自死者追悼法要「俱会一処~ともに生き、ともに祈る~」を大本山増上寺(東京都港区)安国殿で営んだ。
遺族が阿弥陀仏に手を合わせ、静かに亡き人に想いを寄せる「時」を過ごしてほしいと、「時の記念日」にあたる6月10日に同会が毎年行っているもので、今年で14回目となる。
当日は、会場参加とオンラインでの配信という二種類の参加方法で法要を勤め、合わせて約50名が参列。同会会員僧侶による読経に始まり、供養者の回向後、遺族から届けられた「亡き方へのお手紙」を、同殿本尊の阿弥陀仏に奉じた。
石井会長は、「コロナ禍になってから、立場の弱い方、特に女性が自死を選んでしまうケースが増えたと感じています。一つの自死の後ろには、何倍もの遺された方々がおられます。その支えの場となるよう、この活動を続けていきたい」と語る。

心といのちの電話相談室 浄土宗ともいき財団

浄土宗が掲げる「ともいき社会」実現を目指すため、宗内寺院や僧侶が地域で行う社会貢献活動を支援する浄土宗ともいき財団(佐藤行雄理事長)は、平成21年より、苦しみを抱えて生きる人々のため、「心といのちの電話相談室」を開設し、支援活動を行っている。
相談員は所定の研修を受けた浄土宗僧侶や寺族で構成され、秘密厳守、宗派への勧誘などはせずに無料で相談を受けている。
同財団の大谷光壽(こうじゅ)事務局長は「相談室の役割は、相手自身が″自分の中にある答えに辿り着くために、受け止め寄り添うこと〟だと考えています。お電話を下さる方は自身の悩みを相談することができず苦しんでいます。気持ちがつらいときには一人で悩まず、お話しをしてほしい」と話す。

法要・相談の窓口

浄土宗東京教区教宣師会HP
浄土宗ともいき財団HP