浄土宗新聞

「幸せ」とは何かを考える 法然フォーラム 開催 10/11 京都劇場

投稿日時
座談会の様子。左から戸松師、哲夫氏、三浦氏、稲田師、山極氏
座談会の様子。左から戸松師、哲夫氏、三浦氏、稲田師、山極氏

浄土宗(川中光敎宗務総長)では、令和6年(2024)に迎える浄土宗開宗850年に向け、その慶讃事業の一つとして「浄土宗開宗850年記念法然フォーラム これからの幸せin京都」を10月11日、京都市の京都劇場で開催した。
これは、開宗850年のキャッチコピー「お念佛からはじまる幸せ」にちなみ、紛争・疫病・自然災害が頻発し、世界の平穏が揺らぐ現在、「幸せとは何か」を問い、考えることを目的に企画。
その第1回目である今回は、仏教好き芸能人の笑い飯・哲夫氏が司会進行、浄土宗総合研究所副所長で、東京・心光院住職の戸松義晴師がコメンテーターを勤めた。
まず人類学者で総合地球環境学研究所所長・山極壽一氏が、講演を行った。山極氏は自身の専門であるゴリラの研究からその進化の歩みを紹介しつつ、「人はインターネットやシステムに頼るようになった結果、バラバラになってしまった。人と人が交わる文化を再構築する必要がある」と語った。
続いて、上記3人に加え、国際政治学者の三浦瑠麗氏、浄土宗僧侶で編集者の稲田ズイキ師を迎え、スピーチが行われた。
まず哲夫氏は「幸」について、「夭(早く死ぬ)」「屰(さかさま)」の字を合わせたもので、早く死ぬことに逆らうから「幸」であると話した。
三浦氏は、自身の経験から「人は悲しみや苦しみからは逃れられない」と語り、足元の小さな幸せに気付くことが大切であると話した。
稲田氏は、登山で拾った石に名前をつけ世話をする瞬間に幸せを感じるといい、幸せは他から与えられるものではないと述べた。
その後、各出演者による座談では、それぞれが活発な質疑応答を行い、戸松師は「幸せというものは、人それぞれに感じ方が違う」と語った上で、「自分や相手の幸せとは何かを考えて、共に歩んでいくことが大切」と締めくくった。
参加者からは、「自分の幸せについてあらためて考えることができた」「幸せとは、人それぞれが生きるなかで感じるもので、一つのものでもなく、同じものでもないことを感じた」などの感想が寄せられた。
本フォーラムは、全国各地で計9回を予定しており、第2回を、11月14日、東京有楽町のよみうりホールで開催予定。慶讃事業の詳細は【浄土宗開宗850年公式サイト】から。

京都会場の様子。定員900名のなか、約2000件もの応募数があり、参加者は抽選での来場となった
京都会場の様子。定員900名のなか、約2000件もの応募数があり、参加者は抽選での来場となった