浄土宗新聞

大本山金戒光明寺 第76世 藤本淨彦台下 晋山式 厳修

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「くろ谷さん」の愛称で親しまれる大本山金戒光明寺で、11月9日、澄渡る好天の下、第76世・藤本淨彦(ふじもとじょうげん)台下の晋山式が荘厳かつ盛大に営まれた。

練り行列の途中、山門前で行われた開門式の様子。境内は紅葉が美しく彩り、秋の深まりとともに緋色に色づく京都を感じさせた
練り行列の途中、山門前で行われた開門式の様子。境内は紅葉が美しく彩り、秋の深まりとともに緋色に色づく京都を感じさせた

晋山式とは、新たに任命された住職が、住職として初めてそのお寺に入ることを祝して営まれる法要のことで、「晋」は進む、「山」は寺院を意味する。
金戒光明寺は、浄土宗の大本山の一つで、法然上人がお念仏の教えを広めるため、比叡山を下りて最初に草庵を結ばれた地に建つ。初めて布教されたことにちなみ、山門には後小松天皇から賜った「浄土真宗最初門」(※)の勅額が掲げられている。
式は午前10時に梵鐘の音を合図に練り行列から始まり、塔頭(山内寺院)・浄源院から出発。同寺74世・髙橋弘次(こうじ)台下が同寺境内をイメージして誂えた七条袈裟と衣を纏った藤本台下は、雅楽による奏楽とともに、厳かに金戒光明寺へと進んだ。台下は山門前に到着すると、開門式(境内に入るための儀式)を勤め、門が静かに開かれると、法然上人を本尊として祀る御影堂に昇殿された。
中央の高座へ進まれた台下は、堂内正面の法然上人御影(お像)に深く礼拝され、その後に読経が始まった。台下は法要のなかで、表白(法要趣旨を綴った文章)を読み上げ、晋山の報告と寺門興隆を法然上人や歴代住職に誓われた。その後、参列者に十念を授与されると、堂内にはお念仏の声が響き渡った。また、台下は法要後の挨拶で、「開宗850年を迎えるにあたり、『お念仏からはじまる幸せ』を発信・実践できるお寺にしていきたい」と決意を語られた。

法要後に挨拶する藤本台下。御影堂・法然上人御影の前で、上人から続く法灯を継承した。
法要後に挨拶する藤本台下。御影堂・法然上人御影の前で、上人から続く法灯を継承した。


当日は浄土門主・総本山知恩院門跡伊藤唯眞(ゆいしん)猊下をはじめ、大本山御法主台下らや、川中光敎(こうきょう)宗務総長ほか、宗内外の要職者を来賓に迎え、また金戒光明寺檀信徒、藤本台下が住職を務められた西蓮寺(山口県周防大島町)檀信徒など、約500名が参列し、晋山の喜びを分かち合った。
藤本台下は昭和19年生まれの78歳。佛教大学名誉教授、浄土宗教学院理事長、浄土宗総合研究所所長などを歴任された。

※「浄土教の真実の教えを最初に説いた」との意。宗派の浄土真宗とは異なる