五木寛之氏、田中優子氏ら、幸せについて語る 第2回法然フォーラム 開催 11/14 有楽町よみうりホール
講演を行う五木氏
える浄土宗開宗850年の慶讃事業の一つ「浄土宗開宗850年記念 法然フォーラム これからの幸せ」の第2回目を、有楽町よみうりホール(東京都千代田区)で開催、約900人が来場し盛会となった。
これは、開宗850年のキャッチコピー「お念佛からはじまる幸せ」をもとに、紛争・疫病・自然災害が頻発し、世界の平和が揺らぐ中、「幸せとは何か」を問い、来場者と考えることを目的に企画。仏教、特に浄土思想に関心を寄せた著作が多い作家の五木寛之(いつきひろゆき)氏、法政大学名誉教授で江戸文化研究者の田中優子氏、浄土宗僧侶の井上広法(こうぼう)師を招き、漫才師の笑い飯哲夫(てつお)氏を司会進行、浄土宗総合研究所副所長の戸松義晴(ぎせい)師をコメンテーターに行われた。
フォーラムは哲夫氏のユーモアあふれる仏教談義で開会。はじめの講演で五木氏は、法然上人在世の鎌倉時代に流行した歌曲「今様(いまよう)」の、悪事をなして見放された者に救いの手を差し伸べる阿弥陀仏への想いを込めた歌を取り上げ、「今様の中に、乱世を生きる当時の人たちの信を感じずにはいられない」とした。そのうえで、混沌とした現代にあって、人が向き合って語り合うことで幸せや希望をつかめる可能性を語った。
続く座談では五木氏の話を受け、人どうしの関係性の希薄化について触れ、田中氏は、幸せでなくなる第一の理由は戦争であり、戦いの世から方針転換し、人のつながり、モノの循環を重視し、長く平和を保った江戸時代に学ぶことの大切さを、井上師は、法事を「定期的に故人との出会い直しをする場」とし、死別によって抱えたグリーフ(悲嘆)を前向きに変えていく大切な儀式であり、浄土宗の念仏はいずれ再会が果たせる希望の教えだと述べた。
戸松師はウクライナの現状に触れつつ「自分にほほ笑み、他人にほほ笑むことができる、それが一つの幸せであり、それには自分をありのままに受け止めることが大切」と締めくくった。
フォーラムは、全国各地で計9回開催予定。詳細は開宗850年HPから。