浄土宗新聞

東日本大震災十三回忌 福島・宮城・岩手で追悼の想い 震災の記憶を風化させない

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あの日から12年―。
東日本大震災で被害の大きかった福島、宮城、岩手の各地ではさまざまな想いをもって、十三回忌法要が執り行われた。

忘れないことが一番の供養 福島教区

福島教区の「東日本大震災十三回忌法要」の様子。法要後、同地区にある震災慰霊碑の前で追悼回向した
福島教区の「東日本大震災十三回忌法要」の様子。法要後、同地区にある震災慰霊碑の前で追悼回向した

福島教区(蓮沼一紀(はすぬまいっき)教区長)は2月25日、東日本大震災で甚大な被害を受けたいわき市豊間地区で東日本大震災十三回忌法要を営んだ。
法要は、13時から、同地区にある斎場で、蓮沼教区長を導師に、教区内の僧侶、遺族、檀信徒ら約70名が参列して勤められた。
法要後、蓮沼教区長は「時が過ぎても風化させないことが一番の供養。極楽浄土で再会できると信じ、一生懸命生きていきましょう」と参列者に語りかけた。
3月11日には、浜通り組の有志僧侶が震災時に津波の被害が大きかったいわき市の薄磯海岸で、追悼法要を営んだ。
また有志団体が同地に伝わる念仏踊りである、じゃんがら念仏や、それをルーツとする沖縄のエイサーを奉納、物故者を慰霊した。

離れていても想いをともに 宮城教区

照徳寺のトークショーの様子
照徳寺のトークショーの様子

津波による甚大な被害に遭った仙台市宮城野区の照徳寺(中澤宏顕(なかざわこうけん)住職)は、3月5日に追悼法要を営んだ。
当日は、教区の有志僧侶や檀信徒、遺族ら、約100名が参列。追悼法要のほか、大阪教区西光寺住職・寺尾昌治(てらおしょうじ)師による三味線法話や、元プロ野球楽天イーグルス・長谷部康平(はせべこうへい)、草野大輔(くさのだいすけ)両氏による「これまでの12年間」を振り返ったトークショーが行われた。
また、3月11日には宮城教区(中村眞英(しんえい)教区長)が主催となり「東日本大震災十三回忌WEB参拝」と称して、インターネットを活用した追悼の場を設けた。
これは、被災地から離れて住む遺族のために企画したもので、配信を通じて離れた人々とも追悼の想いを共にした。
参加者からは「被災地に来れなくても追悼することができて良かった」という声が寄せられたという。

湾上で回向 これからも 大船渡市・浄願寺

岩手県大船渡市の浄願寺・鬼海信隆(きかいしんりゅう)住職と、大阪教区の生福寺・石原成昭(じょうしょう)住職は3月1日、大船渡湾で「船上回向」を行った。
これは、同市で震災復興の支援を行ってきた石原師が、鬼海住職と交流を深めるなかで、震災直後から毎年行ってきたもの。物故者が眠る湾内で静かに祈りを捧げながら、物故者を慰霊してきた。
コロナ禍で見合わせた時期もあったがこれからも続けていきたいと両師は語る。

災害の備えやケアを学ぶ 全浄青

全浄青による追悼法要の様子
全浄青による追悼法要の様子

全国の青年僧侶で組織する全国浄土宗青年会(寺井孝導理事長)は2月21日、仙台市内で第48回総合研修会を開催。十三回忌の法要を営むとともに、防災やグリーフケアを学んだ。
今回の取材を通じ、多くの方が震災の記憶を忘れず、手をあわせ真剣な眼差しでお念仏をとなえる姿がとても印象的だった。