園児の車内置き去り防ぐ安全装置 佛教教育学園が実証実験に協力 佛教大学附属幼稚園・東山幼稚園
昨今、立て続けに起こった送迎バスへの園児の置き去り事故……。
いたたまれない事故の再発を防止するため、本年4月より安全装置の設置が義務化され、保育園・幼稚園の現場では対応が急務となっている。
浄土宗の信念を基礎とした学校教育を行う学校法人佛教教育学園(田中典彦(てんげん)理事長)が設置する佛教大学附属幼稚園、東山幼稚園(ともに京都市)が、バス車内への子どもの置き去りを検知し通知するシステムの実証実験に、1月下旬から約1カ月半にわたり協力した。
システムはルクセンブルクの企業IEEが開発した「LiDAS(ライダス)」という、車内天井に取り付けた装置のレーダーで取り残された子どもを検知するもの。エンジン停止後に検知した場合は、車内に設置された確認ボタンを押すまでバスのクラクションが鳴り続けるほか、事前に登録してある携帯電話へのSMS(ショートメッセージ)で置き去りを知らせる。
実証実験への協力は、システムを日本で取り扱う三洋貿易株式会社(東京都千代田区)が関係団体を通じて学園側に打診したことがきっかけだったという。
報道陣に公開された2月16日の実証実験は、子どもが車内に取り残されたという想定で行われた。システムが子どもを検知すると、クラクションが鳴り、ドライバーのスマートフォンにSMSが届いて置き去りを知らせ、それによって子どもが救出されるという流れで、システムの有用性が確認された。
実証実験の結果をもとに、政府の定めるガイドラインへの適合申請を行い、3月に実運用に向けた取り付けを開始。佛教教育学園では、両園を含む3設置園で、計8台の実装を予定している。
同学園の田中典彦理事長は、「保育の現場は想定外の連続で、確認を徹底していたとしてもヒューマンエラーは起こりうる。子どもたちが仏さまの加護をいただきながら、安心して育っていただくことを願い、今回のシステム導入を決めました」と語った。