浄土宗新聞

たしかな風味が宿る!妥協を許さぬ渾身のそば 石挽蕎麦 くろみや

投稿日時

栃木県栃木市・近龍寺檀信徒

『本鴨汁そば』(1080円)は大盛り並みのボリューム!生そばのテイクアウトをご希望の方はお声がけを
『本鴨汁そば』(1080円)は大盛り並みのボリューム!生そばのテイクアウトをご希望の方はお声がけを

「そばの美味しさは?」と聞かれたら、歯切れのよさ、心地よい喉越しが頭に浮かぶ。ところが、香りや風味となるとピンとこない人も多いのではないだろうか。それほど繊細なそばの風味を、たしかに楽しめるのが栃木市にある「くろみや」。
「うちで使っているのは常陸秋そば。風味が残るように、ひきたて、打ちたて、ゆでたての“3たて”にこだわっています。そば粉と小麦粉の割合は10対2の“外二”ですが、風味が強いので十割そばに間違われることもあるんですよ」と、店主の黒宮淳元さん。
朝5時から石臼でゆっくりとそばの実をひき、身体ひとつでそばを打つ。注文が入ってそばをゆでれば、秒単位の勝負! 妻の元子さんは、「盛り付けてから数秒でも出すのが遅れると『作り直す』って言うの」と、笑う。
「まずは何も付けずに食べてみてくださいね」と、自慢の『本鴨汁そば』が登場。
粒感のある薄く緑がかったそばをザクザクッとひとかみ、ふたかみでのどへスルリ。ほのかな甘みと清々しさが口からのどに広がった。「これがそばの風味!」と、気づくや、夢中で何も付けずに三分の一ほどを食べてしまった。
鴨汁に使われているのは、青森県から届く新鮮な鴨肉。癖がなく驚くほど柔らか!つゆはそのまま飲めるほどあっさりとしていて、最後までそばの風味を楽しめた。
店には、地元で働く方や学生のほか観光客もたくさん訪れるが、ご主人は必ず顔を合わせて言葉を交わす。
「お客さんから『おいしかった』とたくさんの手紙をいただいています。うれしくて、また頑張る活力になります!」と話すご主人は、そば打ち歴40数年、御年77歳。好きな言葉は相田みつをの「本気でやれば たのしいから 本気でやれば つかれないから―」
ただ美味しいそばを食べるだけではなく、元気をもらえるのが「くろみや」の魅力。一度味わえば、また来たいと思わずにいられません。
(フードライター:藤岡操)

店舗情報

■営業時間=11:00~14:00、17:00~20:00
■水曜定休
■JR両毛線、東武日光線栃木駅より徒歩約15分
■駐車場あり
※価格は税込
〒328-0035 栃木県栃木市旭町26-9
TEL: 0282-23-3760