浄土宗新聞

昔造り辻茂 辻茂製菓

投稿日時

大阪府阪南市・大願寺檀信徒

「食べたときの食感を追求している」と辻野さんが言うように、歯応えは抜群。噛み締めるほどに旨味を感じる
「食べたときの食感を追求している」と辻野さんが言うように、歯応えは抜群。噛み締めるほどに旨味を感じる

大阪府南西部の泉南地域に位置する阪南市。関西空港からのアクセスも良く、大阪市や泉佐野市のベッドタウンとしても知られている。大阪湾・和泉(いずみ)山脈に接する緑豊かなこの地に、おかきの老舗があると聞き、降り立った。
阪南市内中心部の尾崎駅から徒歩数分、「昔造り辻茂」阪南本店が見えてくる。創業は昭和14年、85年の歴史を有する老舗だ。府内に4店舗を構えるが、工場を併設した本店にはひっきりなしにお客が訪れ、人気のほどがうかがえる。
ずらりと並ぶのは、昔懐かしいおかきやあられ。その数は50種類以上にも及ぶ。
「おかきは、餅米をついて、乾燥させて焼き上げるというシンプルなお菓子です。そのため、素材や製法のよしあしがダイレクトに現れる。だからこそ、一つの工程に丁寧に向き合っています」と、代表の辻野恵勧さんは話す。
餅米は、甘味が豊かでサクッとした食感が生まれる佐賀県産の「ひよくもち」を主に使う。これを丸粒のまま蒸して杵で搗き、冷蔵庫で休ませた後に乾燥させるのだが、気温や湿度の影響を大きく受けるため、職人が状態を見極めなければならない。温度管理が甘いと、外だけ乾燥したり、中心部だけ芯が残ったりするそうだ。焼き上げる窯の火加減や焼き時間の調整も、職人の経験と勘が頼りになる。
「職人が一人前になるのに5年はかかります。しかしそこからがスタートで、気温などの条件は日々異なる。毎日がチャレンジなのです」と辻野さん。おかきの完成までは1週間から10日かかると言う。
全国菓子大博覧会の最高賞を受賞した「田舎焼」(写真上・中央)をいただいてみた。ザクっとした歯応えとともに、口いっぱいに餅米の香ばしさが広がる。あっさりした塩味だが、この塩加減が絶妙で、餅米の味わいが引き立つ。まさに手が止まらない美味しさだ。
伝統の味だけでなく、泉南地域のタコやエビなどを練り込んだおかきも大好評。地元の特産品を使った新しい味にも期待したい。
(ライター:岡本茉衣)

店舗情報

もち米はすべて国産。地産地消に取り組み、可能な限り地域の素材を使用している
もち米はすべて国産。地産地消に取り組み、可能な限り地域の素材を使用している

  • 〒599-0202 大阪府阪南市下出728-1
  • TEL:072-471-4545
  • ■営業時間=9時〜19時(月~土)
         10時〜18時(日・祝日)
  • ■定休日=年末年始
  • ■南海本線「尾崎駅」から徒歩6分
  • ■HP=https://tsujimoseika.com/
  • ■通販あり(HPから)